AIインフラ供給でも存在感を強めるSpaceX。写真=Reve AI

SpaceXがGoogleと、人工知能(AI)インフラを巡る大型供給契約を結んだ。CNBCが14日(現地時間)に報じた。契約期間は32カ月で、月額は9億2000万ドル。9月30日までに合意した水準の供給能力を確保できない場合、Googleは契約を解除できる条件が付く。

契約が継続した場合、SpaceXが確保する売上高は総額で約300億ドルに達する見通しだ。SpaceXは新規株式公開(IPO)を控える中で、大口の収益源を確保する形となる。

Googleが追加調達に動いた背景には、AIサービス需要の急拡大がある。企業向けAIプラットフォーム「Gemini Enterprise」への需要が想定を上回るペースで伸び、追加の計算資源が必要になったという。

Google Cloudは今回の契約について、増加する顧客需要に対応するための一時的な追加容量の確保だと説明した。

一方、契約には解除条項も盛り込まれた。SpaceXが9月30日までに合意水準のAIチップ供給能力を整えられない場合、Googleは1カ月の是正期間を経て契約を解除できる。今年末以降は、双方が90日前に通知すれば契約を解約できる。

両社の協力関係は以前から続いている。2015年には、イーロン・マスク氏とGoogle共同創業者のラリー・ペイジ氏がAIの将来性とリスクを巡って公に見解の違いを示し、関係が疎遠になったと伝えられた。

ただ、同年にGoogleはSpaceXへ約9億ドルを出資した。Alphabetが保有するSpaceX株は約4.9%とされ、SpaceX株を巡る評価の高まりを背景に、その持ち分価値が1000億ドルを超えたとの見方も出ている。Alphabetの未上場投資の中でも、代表的な成功例の一つとみなされている。

協業は今回が初めてではない。2021年には、SpaceXが衛星インターネット「Starlink」の運用に向け、Googleとクラウドおよびネットワークインフラの契約を締結した。SpaceXは当時、Googleの光ファイバーネットワークを活用し、Starlinkの接続性とデータ処理能力を高めた。

もっとも、協力関係と並行して競争関係も続く。マスク氏は2015年、サム・アルトマン氏とともにOpenAIを共同設立し、Google DeepMindをけん制する必要性に言及したことがある。その後、OpenAIはDeepMind出身の研究者を採用し、生成AI競争の中核企業へと成長した。

自動運転分野でも両陣営は競合する。Google系のWaymoは米主要都市で数千台規模のロボタクシーを運行し、週50万件超の有料乗車を処理している。一方、Teslaはテキサス州オースティンを中心にロボタクシー事業を拡大しているが、運転者の監督を必要としない完全自動運転の商用化には至っていない。マスク氏はこれまで、WaymoのLiDAR中心の方式を批判し、カメラベースの自動運転の方が効率的だと主張してきた。

今回の契約は、AI産業の成長局面で競合企業同士の利害が複雑に交錯していることを示す事例といえる。GoogleはSpaceXの主要株主であり大口顧客でもある一方、SpaceXはGoogleのAIインフラ需要を支える有力な供給先として存在感を高めている。AIとクラウド市場の拡大が続けば、両社の協力関係はさらに広がる可能性がある。

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