米CNBCは11日(現地時間)、米著名司会者のジム・クレイマー氏が、上場を控えるSpaceXについて、初値が過度に跳ね上がれば市場に混乱をもたらしかねないとして、過熱相場に警鐘を鳴らしたと報じた。
クレイマー氏は、上場初日に投資資金が殺到する可能性を踏まえ、異常な株価上昇と経験の浅い個人投資家の流入が重なった場合のリスクを指摘した。
イーロン・マスク氏が率いる宇宙企業SpaceXは、12日に取引を開始する予定だ。公開価格は1株135ドルで、企業価値は1兆7700億ドルと評価されている。
今回のIPOには、当初計画の4倍超の需要が集まったとされる。通常、強い需要は好材料と受け止められるが、クレイマー氏は、需要の過熱そのものが深刻なひずみを生みかねないとみている。
同氏によれば、理想的なのは公開価格をやや上回る水準で初値を付け、その後も落ち着いた値動きで推移する展開だ。これに対しSpaceXは、機関投資家の強い買い意欲に個人投資家の熱狂が重なりやすい状況にあるという。
さらに、主要株価指数への組み入れを見込んだパッシブ運用資金の流入期待もあり、上場直後に株価が一段と跳ねやすい環境にあると指摘した。
とりわけ懸念されるのは、成行注文を多用する初心者の個人投資家が大量に流入し、株価を持続不可能な水準まで押し上げるシナリオだ。クレイマー氏はこれを、制御不能なミサイルのようなものだとして強い警戒感を示した。
買いが一気に膨らめば、SpaceXの時価総額が一時的に世界有数の巨大企業を上回る可能性もあるという。
ただ、こうした急騰は過去の例を見ても長続きしにくい。企業価値が一時的に4兆~5兆ドルに達する場面があっても、それは数分間の「蜃気楼」にすぎず、膨らんだバブルは結局しぼむと同氏は述べた。
クレイマー氏は、昨年7月に上場したFigmaと、今年5月に上場したCerebrasを典型例として挙げた。両社とも上場直後は強い買いで株価が上昇したが、過熱感が薄れると下落基調に転じ、多くの投資家を失望させたという。
同氏は、上場初日の派手な急騰よりも、株価が長期的に企業価値を反映しながら安定的に推移することが重要だと強調した。過熱した売買は、高値づかみした投資家の損失を広げるだけでなく、市場全体のかく乱にもつながりかねないためだ。
SpaceXの上場は、技術革新への期待と大衆的な熱狂が重なる大型案件といえる。一方でクレイマー氏は、企業価値を無視した短期的な過熱は市場にとって有害になり得ると指摘。イーロン・マスク氏の象徴性や宇宙産業の将来性だけを手掛かりに追随買いするのではなく、上場後の値動きが落ち着き、事業基盤が見極められるまで冷静に判断する必要があると訴えた。