米スタートアップアクセラレーターのY Combinator(YC)は11日、デジタル資産の市場構造を定める米CLARITY法案について、上院本会議での早期成立を求めた。将来的には、あらゆるスタートアップがステーブルコインを含む暗号資産技術を活用するようになるとして、規制の明確化が必要だとの認識を示した。
ブロックチェーンメディアCoinpostが12日付で報じたところによると、YCは11日、X(旧Twitter)への投稿で「すべてのYC企業はいずれ、ステーブルコインを含む暗号資産技術を使うようになる」との見方を示した。
YCは、こうした変化は暗号資産企業やフィンテック企業に限った話ではないと説明した。ブロックチェーンは将来、インターネットのような汎用インフラとして浸透し、さまざまな産業で当たり前に使われるようになるとみている。
同社はブロックチェーンを「Internet of Assets」と位置付けた。資産移転をリアルタイムで処理し、コストを引き下げるほか、24時間取引を可能にし、オープンAPIを通じて誰でもサービスを構築できる点を利点として挙げた。
具体例としては、海外の業務委託先への支払いで国際送金を即時処理できるほか、オンラインマーケットプレイスでは出店者への精算を数日単位から秒単位へ短縮できるとした。さらに、グローバル企業は複雑な銀行連携を組まなくても、150カ国以上で決済・請求業務を展開できると主張した。こうした変化は特定業界にとどまらず、スタートアップ・エコシステム全体に広がるとみている。
背景には、米議会で審議が続くCLARITY法案がある。同法案は、デジタル資産を証券、商品、ステーブルコインなどに区分した上で、監督体制を明確にする内容だ。特に商品に分類されるデジタル資産については、米商品先物取引委員会(CFTC)の監督下に置く枠組みを設けるほか、取引所破綻時の顧客資産保護も盛り込んでいる。
CLARITY法案は5月14日、上院銀行委員会で賛成15、反対9の超党派支持により可決された。ステーブルコイン制度を整備するGENIUS法案に続き、CLARITY法案が成立すれば、米デジタル資産市場の制度整備は大きく前進するとの見方が出ている。
YCは「GENIUS法案がステーブルコインの法的地位を整理するものだとすれば、CLARITY法案は市場構造を定義する法案だ」として、上院本会議での早期可決を求めた。
もっとも、最終成立までにはなお政治的な不確定要素が残る。本会議通過には少なくとも60票の賛成が必要で、一部議員が問題視する利益相反条項を巡る論争も続いている。
法案処理の時期も焦点の一つだ。業界では、2026年の中間選挙前、とりわけ議会休会が予定される8月までに本会議採決に持ち込めなければ、法案成立の勢いが鈍るとの見方が出ている。
上院内では支持の声も続く。暗号資産支持派として知られるシンシア・ルミス上院議員は最近、「委員会は通過した。次は本会議だ。ここで止まるわけにはいかない」と述べ、成立への意欲を改めて示した。
業界では、今回のYCによる公的な支持表明を重要なシグナルと受け止めている。暗号資産業界の要望にとどまらず、米スタートアップ界を代表する機関が、ブロックチェーンとステーブルコインを次世代のデジタルインフラと位置付けたためだ。
CLARITY法案が上院本会議を通過し、米デジタル資産市場の規制枠組みを固められるかに注目が集まっている。