ビットコインATM 写真=ChainBytes

米デラウェア州とニュージャージー州で、暗号資産ATMの全面禁止に向けた法案審議が前進した。いずれも州議会の本会議に送られており、成立すれば既存の暗号資産ATMは90日以内の撤去が求められる。詐欺被害の拡大を受け、規制を強化する動きが広がっている。

Cointelegraphが11日付で報じている。両州は、暗号資産ATMが詐欺に悪用されているとして、所有・設置・運営そのものを禁じる方向で立法手続きを進めている。

デラウェア州では10日、州下院経済委員会が下院法案441号を本会議に送付した。ニュージャージー州でも9日、州上院商務委員会が暗号資産ATM禁止法案を全会一致で本会議に付託した。

デラウェア州法案は、現金と暗号資産の交換機能を持つ決済端末や、同様の機能を備えたレジも規制対象に含める内容だ。法案が最終可決され、州知事に署名されれば、州内の既存機は90日以内に撤去しなければならない。

罰則規定も盛り込まれている。デラウェア州法案では、違反者に最大1万ドルの罰金を科すほか、違法運営が確認された場合には利用者への手数料返還を義務付ける。利用者を特定できない場合は、その金額を消費者保護基金に納付するとした。ニュージャージー州法案も、初回違反で最大1万ドル、再違反で最大2万ドルの罰金を科すとしている。

立法の背景には、暗号資産ATMを通じた詐欺被害の急増がある。米連邦捜査局(FBI)によると、2025年に暗号資産ATMに関して受理した苦情は約1万3500件、被害額は3億8800万ドル超に上った。2024年比では、苦情件数が23%、被害額が58%増えた。苦情全体の半数超は50歳以上によるもので、被害額は3億200万ドルを超えたという。

法案を提出したデラウェア州下院議員のシンディ・ロマー氏は、暗号資産ATMが詐欺師による現金詐取の手段として使われていると指摘した。一般の暗号資産利用者は手数料の高さからATMをあまり利用しないとも述べ、オンライン取引所の手数料が0.4〜1%程度なのに対し、暗号資産ATMでは取引額の20%を超える場合があると説明した。

こうした規制の動きは他州にも広がっている。インディアナ州は3月、関連法に署名し、米国で初めて暗号資産ATMを禁止した。テネシー州は4月、ミネソタ州は5月にそれぞれ全面禁止へ踏み切った。都市レベルでも独自条例の可決や検討が進んでおり、アリゾナ州やカリフォルニア州などでは全面禁止ではなく、取引上限を設ける形で対応している。

規制強化は事業者にも影響を及ぼしている。かつて世界で9000台超のキオスクを運営し、最大手とされたBitcoin Depotは先月、破産申請の背景の一つとして規制圧力を挙げた。

一方、運営会社側は、機器そのものが詐欺の原因だとする見方には距離を置いている。Bitcoin Depotは昨年12月、調査の過程で第三者の詐欺犯による犯罪行為に責任は負えないとしたうえで、端末画面や取引プロセスに強力な警告表示と保護措置を導入していると説明した。実際に一部事業者は、画面上の警告文や独自の取引上限を設けるなどして、不正取引の抑制を図っている。

米国では、暗号資産ATMを詐欺対策の直接的な規制対象とみなす流れが強まりつつある。今後は、デラウェア州とニュージャージー州の法案が最終的に成立するかに加え、他州で全面禁止と取引上限のどちらを軸に規制強化が進むかが焦点となる。

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