AI音楽プラットフォームAudieraの暗号資産トークン「BEAT」がこの1カ月で1500%超上昇し、市場の注目を集めている。BTCとETHが同期間に2桁下落となる中、BEATは逆行高の展開となった。背景には、収益に基づくトークンバーンに加え、デリバティブ市場でのショートスクイーズがあったとみられる。一方で、テクニカル指標は過熱感の強まりも示している。
11日付のCointelegraphによると、BEATはこの1カ月で1500%超上昇し、過去最高値の9.2ドル(約1380円)を付けた。同じ期間にBTCは約25%、ETHは約30%下落した。
市場では、今回の上昇の主因としてAudieraの収益に基づくトークンバーンの仕組みが挙げられている。Audieraは1日から8日までの週間収益が約77万2045BEATだったと公表した。同社提示のトークン価格ベースでは、約287万ドルに相当する。
同期間にAudieraは約77万545BEATをバーンし、累計バーン量は1235万BEATを超えた。総発行量を10億枚に制限する設計のもと、流通量を減らすことで希少性を高める狙いがある。投資家の間では、BEATをAI関連トークンの中でも高い成長性を示すプロジェクトの一つと評価する声が出ている。
もっとも、直近の急騰は収益とバーンだけでは説明しきれないとの見方もある。デリバティブ市場では大規模なショートポジションの清算が発生し、上昇に拍車をかけたとされる。
データによると、5月以降にBEAT市場で発生したショートポジションの清算総額は約2872万ドルに達した。ロングポジションの清算額は1374万ドルで、ショート側はその2倍を上回った。
市場では、典型的なショートスクイーズとの見方が出ている。価格上昇を受けて空売り勢の損失が拡大し、強制的な買い戻しがさらに相場を押し上げる構図になったという。
実際、BEATの直近の値動きは緩やかな上昇というより、ほぼ垂直に切り上がる展開となった。市場では、現物需要の拡大よりも、こうした強制的な買い戻しの影響が大きかった可能性を指摘する声もある。
テクニカル面でも過熱シグナルが出ている。BEATの日足RSIは96.87まで上昇した。一般にRSIが70を超えると買われ過ぎとされ、足元では極端な過熱状態にあるとの見方が強い。
専門家は、買いの勢いが鈍る、あるいは初期投資家の利益確定売りが本格化した場合、急速な調整が起こり得ると警告している。
市場では、9.47ドル(約1421円)が短期的な重要レジスタンスとみられている。1.618のフィボナッチ拡張と重なる水準だ。BEATがこの価格帯を明確に上抜けできなければ、3.71ドル(約557円)まで反落する可能性があるとの見方も出ている。
一方、9.47ドルを明確に突破した場合には、数週間以内に15ドル超(約2250円)を目指す追加上昇シナリオも意識されている。
比較対象としては、年初来で約120%上昇した分散型デリバティブプラットフォームHyperliquidの「HYPE」トークンが挙がる。ただ、HYPEがすでに事業モデルと製品の実効性を市場で示してきたのに対し、Audieraの収益・バーンモデルは検証期間が相対的に短い点が違いとされる。
業界では、BEATの急騰は収益成長への期待、トークンバーン、ショートスクイーズが同時に作用した結果との見方が多い。上昇トレンドの持続には、実際の収益拡大とバーン規模の拡大が継続的に確認されることが欠かせない。