Cardanoの時価総額が60億ドル(約9000億円)台を回復した。もっとも、相場の反発とは裏腹に、デリバティブ市場やオンチェーン指標にはなお慎重な見方を促す材料が残っている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、今回の持ち直しの背景には、米国の物価指標公表後に暗号資産市場全体が小幅反発した流れがある。米労働統計局(BLS)が発表した5月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比4.2%で、市場予想とおおむね一致した。
これを受け、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が6月17日の会合で政策金利を据え置くとの見方が広がった。一方で、年末までに追加利上げの余地はなお残るとの観測も出ている。
ただ、Cardanoを取り巻く地合いが改善したとみるには早い。デリバティブ市場では、ポジション動向やファンディングレートを踏まえると弱気姿勢が優勢で、ショートポジションの積み上がりも意識されている。週足チャートではデッドクロス形成が視野に入り、ADAはなお2020年12月以来の安値圏で推移している。
オンチェーンデータにも別の変化が表れている。分析会社のSantimentはここ数日、Cardanoの保有期間に関する指標に異例の動きが出ていると指摘した。Age Consumedは上昇傾向にあり、長期間動いていなかったウォレットが大きく動き始めた可能性を示しているという。
Mean Dollar Invested Age(MDIA)もこの数日で大きく上昇した。Santimentは、長く動いていなかったADAが再び市場で動き始めたことを示す動きだとみている。
もっともSantimentは、これだけで相場の反転が確定したとは言えないとして慎重な見方も示した。「トレンド反転が目前にあることを示すものではない」としつつ、市場内部で何らかの変化が起きている可能性はあると評価した。過去には、MDIAの上昇とAge Consumedの停滞または低下が、主要な転換点の近辺でしばしば観測されたという。
出来高の鈍化も続いている。Santimentは主要暗号資産の出来高が2年ぶりの低水準にあるとし、相場が安心して上昇基調に戻る前に必要とされる投げ売り局面を示唆している可能性があると指摘した。
Cardanoは時価総額60億ドル台を回復したものの、それだけで地合いの転換を断定するのは難しい。デリバティブ市場とテクニカル指標にはなお弱さが残り、オンチェーンでは長期保有分の再配置をうかがわせる動きも出ている。これが実需を伴う買い戻しにつながるのか、それとも弱気局面での一時的な反応にとどまるのかが今後の焦点となる。