IPOのイメージ写真=Shutterstock

Razerの共同創業者兼CEO、ミンリャン・タン氏は、AI企業を巡るIPOの流れについて、「まだ始まりにすぎない」との見方を示した。OpenAIやAnthropic、SpaceXなどの上場観測が高まる中、今後も大型案件が相次ぐ可能性があるとの認識を示した。

CNBCが11日(現地時間)に報じたところによると、タンCEOはシンガポールで開催されたイベント「SuperAI」で、足元のAI業界のIPO機運について言及した。同氏は「公開市場に向かう企業が増えているのは非常に興味深い」としたうえで、「これはまだ始まりにすぎない」と述べた。

さらにタンCEOは、AI業界では今後も新たな上場の波が続くと予想した。「第2、第3の波が続くだろう」と述べ、市場の注目を集めるOpenAI、Anthropic、SpaceXに続く動きが広がる可能性を示唆した。

市場では、主要AI企業の上場時期に関心が集まっている。イーロン・マスク氏が率いるSpaceXは12日にIPOを予定しており、IPOプロセスでは約1兆7700億ドルの企業価値を目標としている。SpaceXは宇宙事業に加え、Xと生成AIモデル「Grok」を開発するxAI部門も抱える。

OpenAIも最近、米証券当局に上場申請書を提出した。競合のAnthropicもこれに先立ってIPO手続きに着手しており、AIモデル開発を巡る競争は資本市場にも広がっている。

未上場市場でも企業価値を巡る競争は激しい。Anthropicは先月実施したシリーズHの投資ラウンドで、企業価値が約9650億ドルと評価された。これは、3月に約8520億ドルとされたOpenAIを上回る水準だ。業界では、AI企業が未公開段階での資金調達と公開市場への進出を並行して進め、成長資金の確保を急いでいるとの見方が出ている。

一方、Razerはこうした潮流とは逆の道を歩んできた。同社は2017年に香港証券取引所へ上場したが、2022年に非公開化した。当時は、ミンリャン・タンCEOと香港系プライベートエクイティのCVC Capital Partnersが主導する投資家コンソーシアムが、TOBを通じて上場廃止にした。

タンCEOは、この判断について、AI事業を拡大するうえでの戦略的な選択だったと説明した。上場企業として短期業績を求められる環境よりも、長期的な技術投資に集中する必要があったためだという。

実際、Razerは非公開化後にAI分野への投資を大幅に増やしている。同社は今年2月時点で、AI開発に6億ドル超を投じたと公表している。ゲーマー向けのAI製品群も拡充している。

代表例が、今年のCESで公開したAIヘッドセット「Project Motoko」だ。リアルタイム通訳機能に加え、料理ガイドや機器修理の案内など、さまざまなAIサービスを提供する。このほか、高性能AIワークステーションやAIデスクトップアシスタント「Ava」も投入し、AIエコシステムの拡大を進めている。

タンCEOはイベントで、「われわれはAIにオールインしている」と述べたうえで、「AIが人間に似た性格や感情をどう表現できるかまで研究している」と語った。

AI企業の間ではIPOを通じて成長資金の確保を急ぐ動きが広がる一方、Razerは非公開化によって長期投資を優先する戦略を取る。手法は異なるものの、AIを将来の成長ドライバーと位置付ける点では共通している。

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