SpaceXのIPOを前に、暗号資産業界では関連商品の投入が相次いでいる。写真=Shutterstock

SpaceXの新規株式公開(IPO)を前に、暗号資産業界で個人投資家の資金を呼び込む動きが活発になっている。予測市場や無期限先物、株価連動トークンなどが相次いで投入され、証券口座を持たない投資家でも上場期待に賭けられる環境が広がっている。

ブロックチェーンメディアのDecryptが現地時間11日に報じたところによると、暗号資産プラットフォーム各社は、SpaceXの上場を巡る投資需要を取り込むため関連商品を拡充している。主な対象は、米国IPOに直接アクセスしにくい海外の個人投資家だ。

13日に予定されるSpaceXの上場を前に、市場の関心は高まっている。ウォール街では需要予測の段階から注文が集まり、公募株数を大きく上回ったとされる。

こうした中、暗号資産業界は伝統的な金融市場を介さずにSpaceXの値動きへ投資できる商品を打ち出し、顧客獲得を競っている。

もっとも、足元で提供されている商品の多くは、SpaceX株を直接保有する仕組みではない。投資家は値動きに応じた収益を狙える一方、配当や議決権は得られず、SpaceX株そのものに対する権利も持たない。

プラットフォーム間の競争も激しくなっている。予測市場のPolymarketでは、上場初日の終値を基準に時価総額を予想する取引が行われており、参加者は2兆ドル(約300兆円)〜2兆5000億ドル(約375兆円)に達する可能性が高いとみている。

別の予測市場Myriadでは、初日の終値ベースで時価総額が1兆3000億ドル(約195兆円)を上回る確率を94%前後とみる。一方、米規制下で運営されるKalshiは、同様の商品を扱っていない。

暗号資産取引所も対応を急ぐ。Krakenの親会社Paywardは、xStocksを通じてSpaceX株に連動するトークンを提供している。100カ国超で取引でき、公募価格水準とされる1株135ドル(約2万250円)を基準に販売している。

Coinbase Internationalは、SpaceXの企業価値に連動する上場前の無期限先物契約を投入した。実際の上場後の株価推移に合わせて基準価格を調整する仕組みという。

分散型取引所Hyperliquidでも類似のデリバティブが取引されており、市場ではSpaceXの企業価値を1株当たり約168ドル(約2万5200円)で評価しているという。

直近では、Solana基盤のトークンも登場した。暗号資産取引所Backpackは、SpaceX連動トークンについて、自社プラットフォームとセルフカストディ型ウォレットで取引できるようにする方針を示した。このトークンは、将来的に伝統的な株式へ転換できる設計だとしている。

業界では今回のSpaceX上場について、トークン化資産と伝統金融の境界が急速に薄れていることを示す事例と受け止める見方がある。その一方で、投資家保護と規制を巡る課題も改めて浮上している。

実際、昨年にはRobinhoodが欧州の顧客向けに提供した「SpaceX・OpenAI連動トークン」を巡り、実際の株式所有権を伴わないことが明らかになって論争を呼んだ。当時、OpenAIは当該トークンが自社株式を意味しないと明確にし、Robinhoodは価格に連動するトークン化契約だと説明していた。

市場では、SpaceXのIPOが暗号資産ベースの投資商品の成長余地と限界を同時に示す試金石になるとの見方も出ている。現物株の所有権を持たない構造、国ごとの規制の違い、上場後の価格連動の仕組みが、投資家の評価を左右する主な変数になりそうだ。

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