経済学者のヘンリク・ゼバーグ氏が、Strategyのマイケル・セイラー会長が進めるビットコイン買い増し戦略に警鐘を鳴らした。相場急落を受け、借入金を活用した同社の財務戦略を巡る懸念が再び強まっている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが11日(現地時間)に報じたところによると、ゼバーグ氏は、セイラー氏が推進してきた借入金を原資とするビットコイン蓄積策について、最終的に破綻を招きかねないとの見方を示した。
こうした警戒論が改めて浮上した背景には、足元の急激な相場下落がある。ビットコイン価格は6月初旬の8万2000ドル前後から、約2週間で6万2000~6万3000ドル台まで下落した。
この影響で、ビットコインを軸とする財務戦略を採るStrategyは、2026年1~3月期に140億ドルの営業損失を計上した。損失は保有資産の未実現評価損によるものとされる。
Strategyのビットコイン保有量は現在、合計84万5256BTCに上る。一方で、同社が32BTCを売却したことを受け、市場では投資家心理の悪化を指摘する声も出ており、継続的な買い増し余力の低下を懸念する見方も広がっている。
借入金で値動きの大きい資産を買い増す手法への批判も再燃している。代表的なビットコイン懐疑派として知られるピーター・シフ氏は、Strategyの積極的な財務運営を以前から強く批判してきた。
シフ氏は、Strategyはいずれ限界に直面し、生き残りのためにビットコインの売却を迫られる可能性があるとみている。カナダの億万長者で鉱山金融業界の関係者として知られるフランク・ジウストラ氏も、過去にStrategyを「巨大なポンジ」と批判したことがある。
一方で、こうした懸念は行き過ぎだとの反論もある。Strategyの負債は時価評価に連動した担保条件に基づくものではなく、貸し手がマージンコールや投げ売りを強制できる構造にはなっていない、というのがその根拠だ。
また、市場では同社が資金調達面で複数の選択肢を確保しているとの見方も出ている。
セイラー氏は最近のビットコイン急落について、グローバルな資金移動が背景にあると説明した。先週には、OpenAIやGoogle、SpaceXといったテクノロジー大手が集めた総額約4000億ドル規模の資金が、市場全体の資金再配分を促したと指摘している。
市場参加者が大型の新規株式公開(IPO)に備えて複数の資産を現金化する中で、ビットコインもその影響を受けたという見方だ。
ゼバーグ氏はXへの投稿でも、「BTCが1000万ドルになるという夢に幸運を。今回の暴落で@saylorは最大の悪役になる。彼は押しつぶされる」と主張した。
Strategyを巡る論争は、単なる価格下落への評価を超え、借入金を活用したビットコイン財務戦略の持続可能性そのものへと焦点が移っている。今回の急落が一時的なショックにとどまるのか、それとも警戒論が現実味を帯びるのかは、今後のビットコイン相場とStrategyの資金運営を左右する重要な材料となりそうだ。