ステーブルコイン規制を巡っては、適用範囲と管理が及ばない取引の責任所在が争点となっている。写真=Reve AI

米銀業界が、ステーブルコインのマネーロンダリング対策(AML)規制を発行段階だけでなく、発行後の二次市場取引にも明確に及ぼすよう米当局に求めている。これに対し暗号資産業界は、過度な規制がDeFi(分散型金融)の成長を損なうとして反発しており、監督範囲を巡る対立が強まっている。

ブロックチェーンメディア「Decrypt」が11日(現地時間)に報じたところによると、Bank Policy Institute(BPI)とThe Clearing House(TCH)は、共同で提出した意見書で、ステーブルコイン発行後に流通する二次市場取引の監督枠組みを一段と明確化するよう求めた。

銀行側が問題視しているのは、発行体の管理が及ばない取引領域だ。発行体は通常、トークンの発行・償還や準備資産の管理を担うが、発行後に取引所、DeFiプロトコル、個人ウォレットの間で移転される取引については、誰が責任を持って監視するのかが曖昧だとしている。

両団体は、不正資金の移動の多くが発行後の流通段階で起きているとし、二次市場取引の監督こそがステーブルコインのAML体制の中核になると強調した。そのうえで米当局に対し、形式的なルール順守の確認にとどまらず、金融犯罪リスクの高い領域に監督資源を重点配分できる制度設計を求めた。

銀行業界はまた、米金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)と米財務省外国資産管理局(OFAC)が、すでにこの問題を認識しているとの見方を示した。とりわけ、認可を受けたステーブルコイン発行体であっても、二次市場での取引実態を十分に把握できないケースが少なくないと指摘している。

一方、暗号資産業界は、規制強化がイノベーションを阻害しかねないと懸念する。投資会社ParadigmとHyperliquid Policy Centerは最近提出した意見書で、発行体がコントロールできない取引まで責任を負わされれば、規制下にある米ドル連動型ステーブルコインがDeFiエコシステムから事実上締め出されかねないと警告した。

市場では、規制の空白は過大視されているとの見方もある。dYdX FoundationのCEO、シャルル・ドーシー氏は、主要ステーブルコインやDeFiプラットフォームはすでに多様なコンプライアンス対応を導入していると説明した。

同氏は、USDCやUSDTといった主要ステーブルコインが、発行体のスマートコントラクトを通じて凍結機能やブラックリスト機能を提供していると指摘した。多くのDeFiプラットフォームもオンチェーン取引のモニタリング体制を備えているという。真の課題はDeFiそのものではなく、FATF(金融活動作業部会)のトラベルルールの適用範囲外にある海外取引所や非カストディアル・ウォレットだと主張した。

規制拡大が必ずしもマイナスに働くとは限らないとの見方もある。Zeus Researchのドミニク・ジョン氏は、監督範囲が明確になれば、暗号資産市場と伝統的金融の間の信頼が高まり、ステーブルコイン市場の拡大につながる可能性があると評価した。

同氏は、取引所やカストディアン、DeFiサービスに対して、より厳格な顧客確認(KYC)や取引モニタリング義務が課される可能性がある一方で、その見返りとして機関投資家マネーの流入や規制下での採用拡大が期待できると述べた。

ステーブルコイン制度化の議論が進むなか、今後の焦点は、発行体、取引所、カストディアン、DeFiプロトコルの間で監督責任をどう切り分けるかに移りつつある。不正資金の流入遮断とイノベーションの維持をどう両立させるかが、今後の制度設計を左右しそうだ。

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