ビットコインがオンチェーン指標では割安圏に入った一方で、相場の反発にはなおマクロ環境の改善が欠かせないとの見方が浮上している。市場では6万ドルの節目を維持できるかが焦点となっており、ドル高と米長期金利の高止まりが重荷となっている。
CryptoSlateが6月11日(現地時間)に報じたところによると、分析会社Glassnodeは週次のオンチェーンレポートで、ビットコイン反発の条件として、ドル指数(DXY)が99を下回ること、もしくは米10年債利回りが4.2%台まで低下することを挙げた。
足元の市場環境は、こうした条件を満たしていない。ドル指数は100.01と、直近30日で2.1%上昇。米10年債利回りも4.53%と高水準にある。
Glassnodeは、ドル指数が100を上回り、10年債利回りが4.5%を超える組み合わせは、過去にも投機的なリスクプレミアムを圧迫してきたと指摘した。6万ドル近辺は、こうしたマクロ変数の影響を受けやすい価格帯だという。
一方、オンチェーン指標には投資家のストレスが相当に高まっていることを示す動きが出ている。GlassnodeのAVIV zスコアは-1.09まで低下した後、-1.06へやや持ち直し、AVIV比率は0.80を記録した。
これは、アクティブ投資家の平均取得単価に比べ、ビットコイン価格が大きく割り引かれた水準にあることを示すシグナルとされる。
とりわけ短期保有者の損失が目立つ。短期保有者MVRVは0.81まで低下した後、0.83へ回復したが、直近の買い手が平均で17~19%の含み損を抱えていることを意味する。
実際、含み益の状態にある短期保有者の比率は3.3%にとどまった。直近4年平均の55%を大きく下回る水準だ。
実現損失の面でも、売り圧力の強まりが確認されている。短期保有者SOPR zスコアは-1.86と、Glassnodeが「深刻な投げ売り」の目安とする-2に接近した。
価格調整の過程では、レバレッジの整理もかなり進んだ。6万4000ドルから7万ドルの価格帯に積み上がっていたロングポジションは大規模に清算された。
ただ、Glassnodeは、割安感やデレバレッジの進展だけでは反発材料として不十分だとみている。相場の切り返しには、それを支える現物需要の回復が必要だという。
課題となっているのは現物需要の弱さだ。Coinbaseプレミアムは、ビットコインが6万ドル台まで下落する局面でも割引圏にとどまり、米国の現物需要が戻らなかったことを示した。
これまでの調整局面では、Coinbase利用者を中心に押し目買いが入りやすかったが、今回の下落では同程度の買いは確認できなかったという。
企業による買いも鈍っている。4~5月にビットコイン相場を下支えした企業の財務目的の積み増し需要は、1日当たり5億ドル(約750億円)を超える流入を記録していたが、6月初旬以降は日次の買い規模が大きく縮小した。
現物需要と企業の買いが同時に弱まったことで、割安圏に入っても相場がすぐには反発しにくい地合いが生まれている。
オプション市場でも、下振れリスクへの警戒が強まっている。1週間物のアット・ザ・マネー(ATM)インプライド・ボラティリティは一時60%を上回った後、足元では50%前後まで低下した。
一方、1カ月物は約34%から45%へ、6カ月物は40%前後から44%へ上昇した。インプライド・ボラティリティが実現ボラティリティを上回る状態が続いており、市場が先行きの変動拡大を警戒していることがうかがえる。
1カ月物の25デルタ・スキューは約11%から24%へ上昇した。直近7日間のプット買いプレミアム比率は32.4%、直近24時間では35.9%だった。
今後の相場は、大きく二つのシナリオが想定される。ドル指数が99を下回るか、米10年債利回りが4.2%台に低下すれば、Coinbaseプレミアムの回復や企業買いの再開、オプションのスキュー正常化が見込めるという。
一方で、足元のドル高と金利高が続けば、直近の買い手による損切りが増え、6万ドル近辺では買い需要が乏しい中で追加の売りを吸収する展開となる可能性がある。
Glassnodeは、ビットコインの底入れ確認にはオンチェーン指標だけでなく、マクロ環境の変化が先行するとの見方を示した。オンチェーン上では割安に見えても、周辺の買い手が不在の局面では、その状態が長引く可能性があるとしている。