ビットコイン現物ETFからの資金流出が続いている。6月の純流出額は約21億ドルに達し、すでに5月通期の24億ドルに迫った。ビットコイン相場も軟調で、市場では6万ドルの維持と、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)が当面の焦点として意識されている。
ブロックチェーンメディアのDecryptが11日(現地時間)に報じた。
SoSoValueの集計によると、ビットコイン現物ETFの総純資産は5月10日以降、1090億ドルから770億ドルへと330億ドル減少した。資金流出は暗号資産相場の下落と歩調を合わせており、ビットコイン価格も同期間に高値8万1443ドルから一時5万9353ドルまで約27%下落した。
6月4日には1日ベースで純流入に転じ、13営業日連続の流出はいったん途切れた。ただ、その後も基調は変わらず、11日には1日で2億1400万ドルが流出した。市場の見方を反転させるには至っていない。
足元では、流出ペースそのものは加速局面より鈍っているとの見方もある。Tesseract Groupの資産運用責任者アダム・ヘイムズ氏は、売り圧力が明確に収まったわけではないとしながらも、「流出は積み上がるというより、徐々に勢いを失いつつある」との見方を示した。
ヘイムズ氏は、直近の流出要因として3点を挙げた。現物ETFと先物の裁定取引に使われていたレバレッジ資金の解消、米上場の現物商品で手数料が高いファンドから他商品への資金移動、AI関連株や今後予定されるテック企業のIPOへの資金ローテーションだ。
このうち前者2つについては、構造的に時間の経過とともに和らぐ可能性があると指摘した。一方、3つ目の資金ローテーションは市場のリスク選好と直結しており、より重要な変数になるとみている。
また、10日には一部ファンドで純流入が確認されたにもかかわらず、全体では資金流出が続いたことから、売りが市場全体に一様に広がっているというより、特定商品に集中している可能性があると分析した。
マクロ環境も重荷となっている。米国、イスラエル、イランを巡る地政学リスクが続くなか、原油価格は上昇。エネルギー価格の動きが米物価指標の変動性を高めている。
5月の前年比インフレ率は4.2%となり、従来の3.8%から上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を6カ月連続で3.50〜3.75%に据え置いている。
もっとも、物価指標の受け止め方は市場関係者の間でも分かれている。Koinlyの最高経営責任者(CEO)、ロビン・シン氏は、消費者物価指数(CPI)の上振れはビットコインのようなリスク資産にとって追い風ではないとしつつも、市場全体の見通しを大きく変えるほどではないと述べた。
シン氏は、ETFからの流出が止まるには現物需要の回復に加え、ビットコインが7万ドル台半ばから後半を回復する必要があるとみる。価格の強さが続いて市場の関心が戻れば、ETFへの資金流入も追随する可能性が高いという。
これに対し、ヘイムズ氏は別の見方を示す。同氏は「ETFからの流出を止める決定打は、価格反発ではなく金利に関するシグナルだ」と述べた。
先物と現物の収益構造が回復しなければ、キャリートレードは再び機能しにくい。また、資産配分を担う資金も、追加引き締めへの警戒が後退しなければ動きづらいと説明した。その一方で、コアCPIの前月比上昇率が0.2%へ鈍化した点は、金利市場で一定の安心材料として受け止められたと付け加えた。
ビットコインは直近24時間で3.90%上昇し、6万3400ドル前後で推移した。デリバティブ市場では、週末の売りの後に建玉(オープン・インタレスト)が再び増加している。
ただ、Coinbaseプレミアム指数はなお0を下回っており、現物市場の買いが全面的に戻ったと判断するのは時期尚早だ。
四半期末に向けた見通しも分かれている。シン氏は5万ドル台への一段安の可能性を排除していない。一方、ヘイムズ氏は、価格に先んじて資金フローが落ち着く可能性があるとみる。
ヘイムズ氏は、市場が直近1週間にわたって200週移動平均線を守ってきたと指摘した。急反発よりも、その近辺で脆弱ながら下値を固めるシナリオの方が現実的だとしている。
さらに同氏は、来週のFOMCが相場の方向性を左右する最大の変数になり得るとみる。市場参加者が特に注目する水準は6万ドルだ。ヘイムズ氏は、この水準を明確に割り込めば小幅な反発では収まらず、下げ余地が一段と広がる可能性があると警告した。
6月の物価指標でエネルギー価格の上昇がコア物価に波及すれば、追加引き締めへの警戒が強まり、調整局面が長引く可能性がある。逆にコア物価が持ちこたえれば、今年後半の市場環境は6月後半時点より改善するとの見方も出ている。