ビットコインは11日、米物価指標の上振れや、イランによるホルムズ海峡封鎖を巡る報道が重なる中でも下値の堅さを見せ、一時6万3400ドル台を回復した。市場では、地政学リスクとインフレ圧力が同時に強まる局面で、6万ドル台の支持線を維持できるかが焦点となっている。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、BTC/USDはBitstampベースで日中に6万3200ドルまで上昇し、前日比で2.5%超上げた。
今回の反発は、中東情勢の緊迫化とインフレ懸念が同時に強まる中で起きた動きとして注目された。報道によれば、イランは湾岸地域の米インフラ攻撃後、主要な原油輸送ルートであるホルムズ海峡を一時閉鎖したとされる。
これを受け、米原油の指標であるWTI(West Texas Intermediate)は1バレル=91ドル(約1万3650円)を上回った。
ドナルド・トランプ米大統領は同日夜、「イランは強い打撃を受けることになる」と警告した。Truth Socialへの投稿では、米国がカルグ島などの石油インフラ拠点を掌握し、イランの石油・ガス市場を統制することになると述べた。
前日には、ワシントンがホルムズ海峡を統制しているとも主張していた。
市場では、軍事衝突のリスクとエネルギー供給の混乱懸念を同時に織り込む展開となった。QCPキャピタルはレポートで、「市場は軍事リスクと潜在的なエネルギー供給混乱リスクを同時に織り込まざるを得ない」と指摘した。
物価指標もリスク資産の重荷となった。米労働統計局(BLS)が11日に発表した5月のデータによると、食品・エネルギー・商業サービスを除く最終需要物価は前年同月比5.1%上昇し、2022年10月以降で最も高い12カ月ベースの伸びとなった。
前日に公表された5月の米消費者物価指数(CPI)も前年同月比4.2%上昇し、2023年4月以降で最大の伸びを記録した。
BLSは、今回の物価上昇の主因としてエネルギー価格を挙げた。公表資料によると、エネルギー指数は5月までの12カ月で23.5%上昇した。
原油高が物価を再び押し上げる構図が鮮明になり、暗号資産を含むリスク資産には逆風となった。
市場では、目先の方向感よりも6万ドルの支持線を維持できるかが重要との見方が広がっている。強気転換の材料はなお明確ではないものの、悪材料が重なる局面でも急落しなかった点は意識されている。
暗号資産トレーダーのミハエル・バン・デ・ポペは同日、X(旧Twitter)への投稿で「ビットコインはかなり単純だ」と述べたうえで、一段高となれば7万5000ドル〜8万ドルのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)先物のギャップ領域が上値目標になり得るとの見方を示した。ただし、このシナリオは現水準を明確に上抜けることが前提だとした。
足元の焦点は二つある。原油高が米物価指標をさらに押し上げるかどうか、そしてビットコインが外部環境の悪化の中でも6万ドルの支持線を保てるかどうかだ。
市場は、地政学リスクとインフレ圧力が重なる局面でのビットコインの値動きを注視している。