ChatGPTなどのAIチャットボットに、自分を手厳しく批評するよう求める使い方が広がっている。過去の会話履歴や趣味、写真、オンライン上の活動を踏まえて“毒舌”で言い当ててもらうもので、情報検索や業務支援を超え、自分を映す鏡のように使う新たな活用法として注目を集めている。
TechRadarが6月10日、こうした利用動向を報じた。利用者の間では、ChatGPTに対し、これまでのやり取りを基に自分を辛辣にからかうよう求めるプロンプトが話題になっているという。
この使い方の特徴は、文脈のない単なる悪口ではない点にある。初対面の相手が外見や短いやり取りだけで批判するのとは異なり、ChatGPTは蓄積された会話履歴を材料に、利用者の行動パターンや思考の癖を指摘できる。
数カ月にわたってチャットボットと会話を続けてきた利用者であれば、日常生活や関心事、不満、進行中のプロジェクト、先延ばしにしている計画まで、過去のやり取りの中に断片的に残っている。こうした情報が、辛辣な回答の下地になる。
実際、ある利用者がChatGPTに「これまでの会話を基に私を批判して」と求めたところ、ChatGPTは「あなたには趣味がない。何かを人生の使命のように始めるが、道具代を回収する前に消えていく一時的な執着があるだけだ」と応じた。さらに「家のどこかに、捨てられた計画の墓場があなたを待っているだろう」と返したという。
より強い表現を求めると、ChatGPTは強迫的な傾向にも触れた。「人生を整理する完璧なシステムを探し続けている。いまやシステムを作ること自体が趣味だ」としたうえで、「もし生産性アプリが手数料を払っていたら、あなたは今月の社員だったはずだ」と答えた。
こうした返答の土台になっているのは、利用者がこれまで試してきた複数の機能やプロンプトを含む会話履歴だ。利用者自身がある程度わかっている習慣や弱点であっても、それを一文の毒舌として突き付けられる機会は多くない。この「親しみ」と「意外性」の組み合わせが、受け入れられている背景にある。
ChatGPTは、隠された秘密を新たに掘り起こしているわけではない。利用者がすでに提供した情報の点と点をつなぎ、意外な切り口で要約しているにすぎない。
たとえば最後に「最も強い毒舌」を求めたケースでは、ChatGPTは「あなたのToDoリストは、もはや意味がない」と返答した。さらに「未来の歴史家たちは、来月こそやるつもりだったことのために整理されたリストの山を発見するだろう」と続けたという。
一連のやり取りは、チャットボットの新たな役割も浮き彫りにしている。利用者は情報検索や業務補助のツールとしてだけでなく、自分の行動や思考を映し返す存在としてAIを使い始めている。
性格診断や自己啓発書のような体系立った形式ではないものの、会話履歴を基にした短く攻撃的なフィードバックの方が、かえって直接的に受け止められる面もあるようだ。
もっとも、こうした毒舌はチャットボットが把握している情報の範囲内でしか成り立たない。ChatGPTは、利用者が提供した内容や繰り返し見られる行動パターンを基に冗談を組み立てているだけで、隠れた事実を発見しているわけではない。
それでも、利用者自身が気づいていなかったつながりを示した場合には、単なる娯楽にとどまらず、行動を見直すきっかけや動機付けにつながる可能性がある。