SpaceXの上場を巡っては、市場で期待と警戒感が交錯している。写真=Reve AI

SpaceXの新規株式公開(IPO)を前に、巨額の資金吸収が暗号資産や米ハイテク株の需給を圧迫しているとの見方が出ている。調達予定額に対して需要が約4倍に膨らんでいることが背景だ。

Reutersが報じ、ブロックチェーン系メディアCointelegraphが10日に伝えたところによると、SpaceXのIPOには2500億ドル超(約37兆5000億円)の投資需要が集まった。SpaceXは750億ドル(約11兆2500億円)の資金調達を目指している。

IPOが予定通り進めば、SpaceXの企業価値は1兆8000億ドル(約270兆円)に達する見通しだ。資金調達額ベースでは、過去最大級のIPOになる可能性がある。

価格決定は木曜日に予定されている。ただ、大手機関投資家は期限直前に注文を出すことも多く、最終的な需要はなお変動する可能性がある。

市場関係者が注視しているのは、こうした大型案件に伴う資金シフトだ。米ハイテク株が急落し、暗号資産市場からも直近1週間で1800億ドル超(約27兆円超)が流出するなか、その一部がSpaceXの公募に向かった可能性があるとの分析が出ている。

Bitrueのアナリスト、アンドリ・パウザン・アジマ氏は「足元の弱含みは、超大型IPOを前にした典型的な流動性圧迫だ」と指摘した。暗号資産とハイテク株の下落は偶然ではなく、SpaceXの記録的な公募が市場に事実上の「IPO税」として作用しているとの見方を示した。

一方で同氏は、今回の下落が長期的な下落局面の入り口だとの見方には慎重だ。より広範な弱気相場入りではなく、「一時的な資金循環」にとどまるとみている。

大型IPOを前に投資家が現金比率を高めるため、既存のリスク資産を売却した可能性があるというわけだ。

SpaceXの成長期待を支えているのは、衛星インターネット事業「Starlink」だ。Starlinkは主力の売上・利益源として定着しつつあり、SpaceXは人工知能(AI)分野でも23兆ドル規模(約3450兆円)の市場機会があるとしている。

こうしたなか、暗号資産取引所は上場期待をてこに関連商品の投入を急いでいる。Binance、Coinbase、Kraken、Bybitは今月、SpaceXの上場前に無期限先物型の商品を相次いで取り扱い始めた。

Binanceのスポット・デリバティブ責任者、シュニエット・ヤン氏は初期の資金流入について、「投資家が注目度の高い未上場企業に対し、規制市場に近い形で投資機会を得たいという需要の強さを示している」と述べた。

Binanceでは、提供開始から18日間の累計取引高が21億ドル(約3150億円)に達し、参加国は130カ国を超えた。分散型取引所(DEX)のHyperliquidでも、直近24時間の取引高は7000万ドル(約105億円)に上った。

HyperDashによると、SpaceX上場前の合成無期限商品の価格は157ドルで、提供開始時の210ドルを下回っている。

もっとも、価格調整が進む一方で需要は続いている。Hyperliquidの未決済建玉は1億1500万ドル(約173億円)を超え、現時点で市場はSpaceXの企業価値を1兆9700億ドル(約295兆5000億円)程度と織り込んでいる。

今回のSpaceXのIPOは、単なる大型上場案件にとどまらず、ハイテク株と暗号資産市場の短期的な資金フローを左右する材料として浮上している。公募価格の確定と上場後の取引開始を受け、実際の資金移動がどこまで続くかが次の焦点になりそうだ。

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