米暗号資産市場の中核法案とされる「CLARITY法案(CLARITY Act)」が正念場を迎えている。争点は主に3つ。Web3開発者をどこまで規制対象に含めるか、捜査当局の懸念をどう解消するか、そして夏季休会前に残された約4週間で採決まで持ち込めるかだ。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが、10日(現地時間)に報じた。Galaxy Digitalの最高経営責任者(CEO)マイク・ノボグラーツ氏は、法案成立に向けた論点は残り2〜3点に絞られたと説明。夏季休会前の成立を目指し、ワシントンで議会関係者との協議を重ねているという。
ノボグラーツ氏は、法案成立の可能性について引き続き楽観的な見方を示している。一方、市場では慎重な見方も広がっている。
予測市場Polymarketでは、2026年内に同法案が成立する確率が62%から48%に低下した。ホワイトハウスが捜査当局と非公開会合を開いたほか、民主党の一部上院議員が、捜査当局の理解が得られるまで支持を保留する姿勢を示したことで、投資家心理が冷え込んだとみられている。
第1の争点は、Web3開発者の法的位置付けだ。ノボグラーツ氏は、規制見直しの影響がすべての関係者に一律に及ぶわけではないとの認識を示した。
暗号資産業界のリーダー約60人は、ブロックチェーン規制明確性法案(BRCA)を通じ、ソフトウェア開発者を保護する条項の導入を求めている。オープンソース開発者やバリデーターを、取引所やブローカーと同じ規制枠組みに組み込むべきではない、というのが業界側の主張だ。
第2の争点は、捜査当局との調整だ。捜査当局は、開発者を監督対象から外した場合、マネーロンダリング対策(AML)が一段と難しくなる可能性があると懸念している。
この点で折り合えなければ、上院での採決に進むのは難しいとみられている。ノボグラーツ氏や業界ロビイストがワシントンで集中的に調整を続けているのも、この論点を巡ってだ。
第3の争点は時間だ。ノボグラーツ氏は、夏季休会前に残された4週間を「市場にとって最後の機会」と位置付けた。
夏季休会に入れば、中間選挙をにらんだ政治日程が本格化し、党派対立が一段と強まる可能性がある。その場合、超党派の合意形成は事実上難しくなりかねず、法案の中身に加え、議会日程そのものが成立の可否を左右する局面になっている。
同氏はワシントンでのロビー活動について、「塹壕戦」のような消耗戦だと表現した。そのうえで、関係するロビイストらの粘り強い働きを高く評価した。
また、今回の法案成立は、分断が深まる議会でも協力が可能だと米社会に示す機会になるべきだと訴えた。
最終的な焦点は、技術産業と捜査当局の間で、規制の線引きをどこに置くかにある。開発者を取引インフラの事業者と同列に扱うのか、それとも別枠で整理するのか。この調整がまとまれば、上院採決に向けた手続きが前進する可能性がある。
夏季休会前の「4週間」という時間的制約も重なり、米国の暗号資産立法を巡る議論は、短期間で政治的な妥協点を見いだせるかが最大の焦点となっている。
ノボグラーツ氏は「終日の会合に出席するためワシントンDCに向かう。私はなお楽観的で、CLARITY法案を成立に持ち込めると考えている。両党の上院議員はこの法案に多くの時間を費やしてきた。非常に複雑な法案だが、残る論点は2〜3点だ」と投稿した。