太陽光発電と蓄電池の組み合わせで24時間供給を目指すAmbrosia Energy。新技術の開発ではなく、工期短縮とコスト改善を前面に打ち出す。写真=Ambrosia Energy

米エネルギースタートアップのAmbrosia Energyが、AIデータセンター向けの新たな電源供給事業に乗り出した。太陽光発電とリチウムイオン蓄電池を組み合わせ、24時間の電力供給を実現する構想で、天然ガス火力より低コストかつ短工期を訴求する。

米TechCrunchが10日(現地時間)に報じた。Ambrosia Energyは、急拡大するAIデータセンターの電力需要を取り込み、主力顧客として開拓する方針だ。

同社の特徴は、新たな発電技術そのものではなく、既存の太陽光発電と蓄電池をどう組み合わせるかにある。24時間の安定供給を可能にしながら、発電コストをMWh当たり100ドル(約1万5000円)まで引き下げることを目標に掲げる。

これは、投資銀行Lazardが試算した新設の複合ガス火力発電所の発電コストであるMWh当たり約107ドル(約1万6050円)を下回る水準だとしている。

工期の短さも競争力として打ち出す。共同創業者で社長のサラ・スパングルロは、契約締結から電力供給開始までを12カ月以内で実現できるとの見通しを示した。

これに対し、ガスタービン発電所は設備調達の待機期間だけで5〜7年かかるとされる。Ambrosia Energyは、この差が大きな優位性になるとみている。

コスト低減の鍵は、蓄電池の運用方法にある。一般的な系統向け蓄電池が2〜4時間単位で急速に充放電するのに対し、同社は昼間に緩やかに充電し、夜間も緩やかに放電する方式を採用した。

こうした運用により蓄電池への負荷を抑え、システム全体のコスト削減につなげるという。

創業チームは宇宙産業出身者が中心だ。スパングルロとCEOのベン・ロングミアは、衛星通信スタートアップのSwarmでともに働いた後、SpaceXによる買収後はStarlink事業にも関わったという。

スパングルロはGoogle出身で、ロングミアはAppleや複数の宇宙関連スタートアップを経た経歴を持つ。

資金面では、当初は外部資金に頼らず事業を立ち上げ、その後ベンチャーキャピタルのDFJ Growthから資金調達を実施した。調達額は公表していない。

実証も進んでいる。2026年1月には米テキサス州西部で初の発電所建設に着手し、現在の工事進捗は約半分に達したとしている。

一部設備はすでに稼働しており、通常運転に入っているという。

同社は拡張性の高さも強みとみる。足元では数十MW規模の案件からスタートするが、将来的にはGW級の発電所建設を視野に入れる。

スパングルロは、システムは大規模拡張に対応できる設計だと説明。大口契約に先立ち、実際の性能を検証できる環境も提供する計画だとしている。

ロングミアCEOは、提携先の一部が約100万エーカーの用地アクセス権を確保していると明らかにした。同社試算では、約30GW規模の太陽光発電団地を整備できる水準だという。

今後は市販部材への依存を減らし、自社設計機器の比率を高める方針だ。テキサス州オースティンでの生産工場建設も進める。

これにより、より大規模な案件をより短期間で進め、2030年までにGW級の電力供給能力を確保することを目指す。

AIデータセンター向け電力の確保が世界的な課題となるなか、Ambrosia Energyのモデルが有力な選択肢となるか注目される。天然ガス火力の建設遅延が続く中、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた大規模電源が、経済性と安定供給を両立できるかが焦点となる。

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