資産運用大手のFidelityが、直近1週間でイーサリアムを約2860万ドル買い増した。週間の買い付け額としては約2カ月ぶりの高水準で、資金流出が続くイーサリアム現物ETF市場では例外的な動きとして注目を集めている。
この動きは、ブロックチェーン関連メディアのU.Todayが10日(現地時間)に報じた。オンチェーン分析企業Arkham Intelligenceのデータによると、Fidelityは過去1週間で約2860万ドル相当のイーサリアムを取得した。同規模の週間買い越しが確認されたのは、4月下旬以来という。
背景には、イーサリアム現物ETF市場全体の低調な資金動向がある。過去1週間は資金流出圧力が強く、Fidelityを含む各ファンドで新規資金の流入が細る日が目立っていた。
こうした地合いの中でのFidelityの買い付けは、弱含む市場でも需要が戻り始めている可能性を示す動きと受け止められている。買い付け期間を踏まえれば金額自体はなお限定的ともいえるが、ここ数週間は需要減速を背景に買い付けの勢いが鈍っていただけに、市場では変化の兆候とみる向きがある。
市場参加者の関心は、今回の買い増しが単発の動きにとどまるのか、それとも機関資金がイーサリアムに回帰する初期シグナルなのかに向かっている。機関投資家のセンチメントが持ち直しつつあるとの見方も出ている。
もっとも、今回の買い付けだけで相場の明確な転換を判断するのは難しい。イーサリアム現物ETFは、ビットコイン現物ETFと比べて投資家の関心が相対的に弱いうえ、ステーキング収益を直接取り込めないという商品設計上の制約も、投資魅力を抑える要因として指摘されてきた。
このため、機関資金の本格的な再流入を見極めるには、単発の買い越しではなく、複数の運用会社で純資金流入が継続するかを確認する必要があるとの見方が大勢だ。
それでも、イーサリアム価格や関連投資商品の需要が弱い局面で、大手運用会社が買い付けを進めた意味は小さくない。市場では、相場が底値圏にあるとの判断や、中長期のポジション拡大をにらんだ動きと解釈する向きもある。
資金流出が続くイーサリアム現物ETF市場で、Fidelityの買い増しが停滞していた需要の変化を示す初期シグナルとなるのか。今後は、他の運用会社にも同様の資金流入が広がるかが焦点となりそうだ。