オンチェーン分析で資金の出所をどこまで特定できるかが改めて焦点となっている(写真=Reve AI)

暗号資産「Cardano(ADA)」の共同創業者チャールズ・ホスキンソン氏が、2021年の強気相場で約15億ADAを売却した可能性があるとの指摘が、オンチェーン分析をきっかけに再び浮上した。もっとも、現時点の公開データだけでは、当該資金の実質的な管理主体や実際に売却が行われたかどうかは確認されておらず、議論はなお続いている。

米メディアのThe Defiantが10日(現地時間)に報じたところによると、NFT制作者でオンチェーン分析家のマサト・アレクサンダー氏は、2021年に発生した大規模なADA移動について、従来よりもはるかに短い追跡経路でホスキンソン氏側、もしくはInput Output Global(IOG)につながる可能性があると主張した。

焦点となっているのは、ADAが過去最高値を記録した2021年に行われた大口の資金移動だ。アレクサンダー氏は、9億2500万ADAの取引1件と、2000万ADAずつに分割された9件の送金が、共通の資金源に由来すると分析している。

同氏によれば、従来の分析では約40段階を経て追跡されていた資金の流れを、今回は1〜7段階程度まで絞り込めたという。これにより、関係先との接点がより直接的に見えるようになったとしている。

分析の根拠として挙げたのが、ステークプールの担保資金の流れだ。問題となっている取引について、IOGが運営していた非公開のステークプールの担保資金に連なる痕跡があると説明している。

特に、約6400万ADA規模の担保資金が複数集約され、大規模な移動につながった形跡が確認できたと主張した。

一方でアレクサンダー氏自身も、今回の分析が決定的な証拠ではないことは認めている。同氏はこれを「オンチェーン上で実際に何が起きたのかを確認するための最善の試み」と位置付け、データや手法に誤りが見つかれば修正する考えを示した。

実際、公開されているオンチェーンデータだけでは、該当ウォレットの実所有者を特定することはできない。資金が実際に取引所へ送られ、売却に至ったかどうかも確認されていない。

このため、共通の資金源を追跡できたとしても、それだけでホスキンソン氏やIOGによる売却を直ちに裏付けるものではないとの見方も出ている。

ホスキンソン氏は今回の疑惑について個別の見解を示していない。The Defiantのコメント要請にも応じなかったとされる。

Cardano財団はメールで、「IOGに関連する取引について確認できる情報はない」とした上で、「ホスキンソン氏と主要な創業主体が、善意や専門性に反する行動を取ったとみる理由はない」と回答した。

今回の議論が注目を集めている背景には、足元のCardanoエコシステムでガバナンスを巡る対立が続いていることもある。今月に入り、Cardanoの主要分析プラットフォームであるTapToolsがサービス終了を発表したほか、Cardano Summit 2026もガバナンス投票で必要な賛成票を確保できず中止となった。

また、IOGが提出した3290万ADA規模の研究予算案は、DRep投票で約87%の反対を受けて否決された。コミュニティ内では、開発方針や予算執行を巡る対立が深まっている。

ホスキンソン氏自身の発信も波紋を広げた。今月初めに「しばらく休む」と投稿した後、1日もたたないうちに「去るわけではない」と撤回。その後、ガバナンスの膠着が続く場合には、Cardanoチェーンを分離して新たなチェーンを構築する可能性、いわゆる「核オプション」にも言及した。

市場環境も厳しい。CoinGeckoによると、ADAは直近1カ月で40%超下落し、2021年の過去最高値である3.09ドルを90%超下回る水準で推移している。

DefiLlamaベースでみたCardanoエコシステムの預かり資産総額(TVL)も、約9300万ドル(約139億5000万円)にとどまる。

業界では、今回のオンチェーン分析が過去の取引追跡にとどまらず、Cardanoのガバナンスに対する信認や創業者リスクを改めて浮き彫りにしたとの見方がある。ただ、現時点では取引の実質的な管理主体や売却の有無を断定できる材料は乏しい。実態解明には、追加のオンチェーン分析に加え、オフチェーンの証拠の積み上げが必要になりそうだ。

キーワード

#Cardano #ADA #Input Output Global #IOG #オンチェーン分析 #ステークプール #ガバナンス #TVL
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.