AI関連株を押し上げてきた流動性相場のもろさが改めて意識された。写真=Reve AI

KOSPIがこの2日間で急落後に急反発し、AI投資ブームの裏にある市場のもろさが浮き彫りになった。米雇用統計と半導体業界の先行き不安が韓国株と暗号資産を同時に揺らし、AI関連株やデジタル資産を押し上げてきたグローバルな流動性への依存が改めて注目を集めている。

暗号資産メディアのCryptoSlateによると、KOSPIは8日に8.29%下落し、7484.41で取引を終えた。翌9日には8.18%反発し、8096.93まで戻した。2日間の変動率は約17%に達した。

CryptoSlateはこうした値動きを、伝統的な株式市場というより暗号資産市場で見られる水準だと評価した。今回の急変は韓国市場固有の問題にとどまらず、AI半導体株と暗号資産を軸に形成されてきた資金フローの不安定さを示す象徴的な事例だと分析している。

背景には、Samsung ElectronicsとSK hynixに代表される大型半導体株への資金集中がある。KOSPIは約950社の上場企業で構成されるが、指数上昇の多くは一部大型半導体株がけん引してきた。今年に入ってKOSPIは約92%上昇し、そのうち約72%はSamsung ElectronicsとSK hynixの上昇が占めたとされる。

急落の直接のきっかけとなったのは米雇用統計だ。5日に発表された米国の5月非農業部門雇用者数は17万2000人増となり、市場予想の8万5000人を大きく上回った。雇用の強さを受けて米連邦準備制度理事会(Fed)の利下げ期待が後退し、高い成長期待を織り込んでいたAI・半導体関連銘柄に売り圧力が強まった。

これに加え、BroadcomのAI事業見通しが市場期待に届かなかったことで投資家心理は一段と冷え込んだ。Broadcom株は約13%下落し、米半導体指数も2桁の下落率を記録した。こうした流れを受け、韓国市場の寄り付き直後にはSamsung ElectronicsとSK hynixもそれぞれ1割前後下落した。

下げを拡大させたのはレバレッジの存在だ。韓国の個人投資家は大型半導体株への信用取引を膨らませ、信用残高は過去最大の37兆7400億ウォンに達した。相場が建玉と逆方向に動けば証券会社から追加証拠金を求められ、強制売却が発生して下落を増幅する。市場の恐怖指数も金融危機時のピークを上回る記録的な水準まで上昇した。

影響は韓国株にとどまらなかった。米ナスダック指数も取引時間中に4%超下落し、投資家はテクノロジー株の比率を落とす一方、生活必需品や小売などディフェンシブ銘柄に資金を振り向けた。Strategy株が、伝統的金融の投資家にとって事実上のビットコインへのレバレッジ投資手段とみなされているとの見方もあり、AI関連資産と暗号資産市場の結び付きの強さもうかがえる。

ビットコインも売りを免れなかった。米雇用統計の発表後、ビットコインは年初来安値となる5万9100ドル近辺まで下落し、1日で17億ドル超(約2550億円)のレバレッジポジションが清算された。米国のビットコイン投資商品からの資金流出も続いた。

一方、9日のKOSPI反発は、ファンダメンタルズの改善というより投資家心理の持ち直しによる面が大きいとみられている。イスラエルとイランの停戦報道が地政学リスクへの警戒を和らげたほか、Nvidiaの最高経営責任者(CEO)ジェンスン・フアン氏が最近の下落を「買いの機会」と評したことも相場の安定につながった。米半導体株の反発も韓国株の支援材料となった。

市場では今回の値動きを巡る見方は分かれている。強気派はAI投資需要と半導体市況はなお堅調だとみる。一方、弱気派は指数上昇が少数銘柄に偏り、レバレッジも積み上がっているため、次の調整局面ではより大きな衝撃につながりかねないと警戒する。

投資家の関心は次のFed会合と物価指標に移っている。16〜17日に予定されるFed会合と米インフレ指標の結果次第で、足元の変動が一時的な調整で終わるのか、それともAI関連株と暗号資産を中心とするリスク資産全体への警告信号に発展するのかが左右されそうだ。

キーワード

#KOSPI #AI #半導体 #Samsung Electronics #SK hynix #ビットコイン #米雇用統計 #信用取引
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.