Nasdaq上場のフィンテック企業Foldは、保有するビットコイン約4500万ドル相当を売却し、担保付き債務を全額返済した。財務改善を好感した買いが入り、同社株は一時162%上昇した。
暗号資産メディアのDecryptoが10日(現地時間)に報じたところによると、Foldは保有ビットコインを平均約7万1000ドルで売却した。調達した資金のうち2000万ドルをビットコイン担保債務の返済に充て、残る2500万ドルは事業拡大に向けた成長資金に振り向けた。
この措置により、同社の担保付き債務は実質的にゼロとなった。月次の利払い負担がなくなることでキャッシュフローの改善が見込まれるほか、市場変動に伴う財務リスクの低下にもつながるとしている。
最高経営責任者(CEO)のウィル・リーブス氏は、「今回の決定は、当社の長期成長への確信を示すものだ」とコメントした。あわせて「バランスシートを強化し、資金調達リスクを引き下げたことで、今後は製品ロードマップの実行に集中できる」と説明した。
株式市場の反応は早かった。Fold株は発表直後に1.6ドルまで上昇し、前日終値比で162%高を付けた。その後は上げ幅を縮小したものの、足元では1.1ドル近辺で推移し、なお80%超高い水準を保っている。
もっとも、株価は中長期ではなお低迷している。Fold株は年初来で約58%下落しており、直近12カ月では78%超下げている。
Foldは、日常の金融取引を通じてビットコインを貯めて使えるサービスを展開する、ビットコインを軸としたフィンテック企業だ。足元では、ビットコインリワード型のクレジットカードやビットコインギフトカードを投入したほか、法人向けには従業員への暗号資産での報酬支払いを支援する「Bitcoin Bonus」サービスも拡大している。
同社は今回確保した資金をもとに、ビットコインリワードカード事業の拡大を加速させる方針だ。リーブスCEOは、ビットコインクレジットカード事業を長期成長の中核と位置付け、会員基盤の拡大や融資面での提携先開拓を積極的に進める考えを示した。
今回の施策は、業績が減速する局面で打ち出された。Foldの2026年1〜3月期の売上高は560万ドルで、前年同期比21%減だった。保有ビットコインの一部を流動化して負債を圧縮し、成長投資の原資を確保する戦略を選んだ格好だ。
業界では、今回の財務再編が短期的には財務安定性の改善につながるとの見方が出ている。一方で、確保した資金をテコにクレジットカード会員の拡大や新サービス投入をどこまで進められるかが、今後の企業価値を左右する焦点になりそうだ。