ビットコインのマイニング関連イメージ写真=Shutterstock

ビットコインのマイニング収益性が過去最低水準に落ち込み、相場が6万ドル台を維持できるかに市場の関心が集まっている。価格下落に加えてオンチェーン活動も鈍化しており、マイナーの収益悪化が保有BTCの売却につながれば、相場の重荷になりかねない。

Cointelegraphが10日付で報じたところによると、ビットコイン価格が6万2000ドル近辺まで下落するなか、オンチェーン活動は低調に推移し、マイニング収益も過去最低圏に沈んだ。

市場が注視しているのは、収益悪化そのものよりもマイナーの保有残高だ。マイナーとマイニングプールはなお1100億ドル超相当のビットコインを保有しており、採算悪化を受けた売却が広がれば、価格の下押し要因となる可能性がある。

Luxor Hashrate Indexによると、1TH/s当たりの1日収益見通しは先週火曜日に0.28ドルまで低下した。1カ月前の0.39ドルから一段と悪化した。

電力料金を1kWh当たり0.07ドルと仮定した場合、Antminer S21 XP Hydroの月間想定総利益も192ドルから137ドルに縮小した。

マイナーのウォレット動向からも売り圧力の高まりがうかがえる。Glassnodeの集計では、マイナーおよびマイニングプールのアドレスにおける14日平均のネットポジション変化は5月初旬にマイナスへ転じ、その後もマイナス圏にとどまっている。

背景はさまざまだ。運営費の確保や負債圧縮に加え、AIデータセンター拡張に向けた資金確保も挙がるが、いずれも市場への供給増加につながる点では共通している。

マイニング業界の集中度も改めて意識されている。直近7日では、Foundry USA、Antpool、F2Poolの上位3つのマイニングプールが全ハッシュレートの59%を占めた。2022年の44%から上昇しており、集中が進んでいる。

こうした動きの背景には、AIインフラ投資の拡大もある。投資銀行Bernsteinのアナリストは、AIデータセンター増設の主なボトルネックとして、半導体そのものより電力へのアクセスを挙げた。

このため一部のビットコインマイニング企業は、既存の電力インフラの一部をAIコンピューティング向けに振り向けている。

一方、ビットコインの生産コストをどうみるかについては見解が分かれている。Capriole Investments創業者のチャールズ・エドワーズ氏は、減価償却費などを含むマイニングの生産コストを6万2650ドル、電力料金ベースの絶対的な損益分岐点を5万120ドルと示した。

ただ、一部の上場マイニング企業は、より高効率のASIC(特定用途向け集積回路)や産業用電力契約を活用し、コストを大きく抑えているという。

実際、American Bitcoin(ABTC US)は、2026年1〜3月期の1BTC当たり総運営費が約3万6200ドルだったと明らかにした。業界全体で一律の生産コストを示しにくいことが分かる。

税制面の理由から、赤字を受け入れながらマイニングを続ける事業者もいる。

このため、マイニング収益性の悪化だけをもってビットコイン相場の下値を判断するのは難しい。Capriole Investmentsの資料によると、ビットコインは2019年と2023年にも、生産コストの推定値を下回る水準で6カ月超にわたって取引されたことがある。

高コストのマイナーが一時的に稼働を止めても、現物市場では機関投資家の資金流入がマイニングによる供給量を大きく上回っている点も無視できない。

最終的に6万ドルを維持できるかどうかは、マイニング業界の損益よりも、より広い市場環境に左右されるとの見方が強い。足元の価格停滞が続くかは、マイナーの収益性に加え、マクロ経済の不確実性のもとで投資家がリスク資産をどの程度回避するかにかかっている。

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