写真=SpaceX

エリザベス・ウォレン米上院議員は10日(現地時間)、SpaceXの新規株式公開(IPO)を延期するよう米証券取引委員会(SEC)に求めた。企業価値評価やガバナンス、投資家保護を巡る懸念があるとして、上場手続きを急ぐべきではないと訴えている。

米CNBCが報じたところによると、ウォレン氏はSECに送った書簡で、SpaceXの上場は投資家保護と市場の健全性に異例のリスクをもたらしかねないと指摘した。書簡では、史上最大級のIPOが前例のない脅威となる可能性があるとして、登録届出書の効力発生を急がないよう求めたという。

ウォレン氏が問題視した論点は大きく3つある。1つ目は、SpaceXがイーロン・マスク氏の保有するxAIを買収することを巡り、会計処理や企業価値評価が不正確、あるいは投資家に誤解を与えるおそれがある点だ。

2つ目は、マスク氏の支配力の強さだ。ウォレン氏は、過半の持分を握るマスク氏の権限に実効的な歯止めが働きにくく、利益相反につながる可能性があると主張した。書簡では、マスク氏が極めて強い影響力を持っていること自体が統治上のリスクだとの認識を示した。

3つ目は、主要株価指数への組み入れがもたらす影響だ。SpaceXが上場後に主要指数へ速やかに採用されれば、個別に銘柄を選ぶアクティブ投資家だけでなく、インデックスファンドの投資家にもリスクが及ぶとウォレン氏はみている。

書簡では、個別株投資家であればリスクの高い企業や不公正な慣行が疑われる企業を避けることができる一方、今回のIPOでは数百万人規模のインデックスファンド投資家が選択の余地なくSpaceXのリスクを負う可能性があると訴えた。

SpaceXは12日に上場を控えている。今回のIPOは、史上最大規模の資金調達と歴史的水準の企業価値を目指す案件とされる。

上場の仕組みも一般的なIPOとは異なる。需要に応じて仮条件レンジを調整する通常の手法ではなく、1株135ドル(約2万250円)の単一価格を提示したと伝えられており、投資家はその価格を受け入れるかどうかの判断を迫られる形になる。

個人投資家への配分比率が高い点も異例だ。報道によると、SpaceXは全体の約30%を個人投資家に配分する案を進めており、金額ベースでは約225億ドル(約3兆3750億円)に達する。

大型IPOで個人投資家への配分が増えれば、上場直後の株価変動の大きさや、投資家が負うリスクを巡る議論が一段と強まる可能性がある。

今回の書簡を受け、SpaceXの上場を巡る論点は、単なる人気や案件規模にとどまらず、会計の透明性、筆頭株主の支配力、指数組み入れに伴う資金流入の構造へと広がっている。

SECが実際に上場日程を見直すかどうかは現時点で明らかになっていない。ただ、SpaceXのIPOは、上場手法と投資家保護のあり方を問う試金石として注目を集めそうだ。

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