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AIインフラへの巨額投資が続く中、GPUリース料や計算資源コストを金融商品として扱う動きが広がっている。NVIDIA製GPUを担保にした融資に加え、GPUリース料に連動する先物の整備も進みつつあり、AIインフラ資金の「金融商品化」が新たな局面に入ってきた。

The Informationによると、投資銀行や取引所、データ提供会社は、GPUリース料を金融市場で売買できる資産として扱うための仕組みづくりを急いでいる。狙いは、AIインフラの主要コストである計算資源をコモディティのように価格追跡・ヘッジできるようにし、短期的な価格変動や中長期の需給変化に対応しやすくすることにある。

Goldman SachsとJP Morganも、こうした関連商品の検討を進めているとされる。両社による正式発表はないが、The Informationは事情に詳しい関係者の話として、年内にも取引所で関連商品が扱われる可能性があると報じた。

AIインフラ構築に資金を供給する銀行にとって、こうした商品は将来の計算資源の供給過剰リスクを抑えるヘッジ手段になり得る。顧客企業にとっても、計算需要の変動リスクを管理する上で有効とみられている。

もっとも、JP MorganとGoldman Sachsの議論はなお初期段階にあるという。規制対応などを理由に、具体化に時間を要する可能性もある。ただ、The Informationは「両行はすでにAIインフラ関連で電力や他の商品を取引している」とし、「こうした発想自体は大手銀行にとって目新しいものではない」と伝えた。

取引所側の動きはすでに具体化している。CME Group傘下のシカゴ・マーカンタイル取引所と、ニューヨーク証券取引所の親会社であるICE(Intercontinental Exchange)はいずれも、計算資源に関連する先物商品の年内投入を計画している。

ICEは5月、データ提供会社Ornnと組み、OCPI(Ornn Computing Power Price Index)をベースにしたGPU先物の計画を公表した。OCPIは実際の取引記録に基づいて算出される計算資源の価格指数という。対象にはNVIDIAのH100、H200、B200といった高性能GPUに加え、RTX 5090のような高性能コンシューマー向けグラフィックスカードも含まれる。

CMEはGPU市場データ会社Silicon Dataと提携し、計算資源先物を投入する方針だ。先物価格は、Silicon Dataが集計する「H100リース指数」に連動する。主要クラウド事業者のリアルタイムのリース料を標準化し、分断され透明性に乏しい現物市場に共通の価格指標を示す狙いがある。

スタートアップの動きも活発だ。Architect Financial Technologiesは、計算資源の先物取引所を開発中で、規制当局の承認を得られれば第3四半期にも立ち上げる予定という。The Informationによれば、この先物は既存の商品先物と同様、GPU容量を借りるAI企業や供給側企業が、GPUリース料の変動リスクをヘッジできる仕組みになる。

市場形成にはブローカーやトレーディング会社の参加も欠かせない。この分野ではすでに、計算資源先物を見据えた動きが出始めている。

The Informationによると、トレーディング会社DRWは、一定期間サーバーを利用できる「現物の計算資源」を扱うチームをすでに持ち、CMEの計算資源先物のパートナーとして参加することを決めた。

先物契約の締結や清算を支援するStoneXも、顧客向けに計算資源先物の取引サービスを提供する計画だ。暗号資産のプライムブローカーであるFalconXと、暗号資産取引会社Wintermuteも、計算資源先物の取引を計画しているという。

一方で、市場拡大には課題も残る。先物市場を機能させるには、清算時の基準となる信頼性の高い価格指標が不可欠だが、計算資源の価格は標準化が難しい。リース料はGPUの種類によって異なるうえ、ハードウェア構成や電力コストにも左右される。大口取引の多くが非公開で行われる点も、価格の透明性を損なう要因だ。

こうした事情を踏まえ、取引所各社は外部のデータ提供会社と連携し、価格指標の整備を進めている。GPUリース料を巡る先物市場が本格的に立ち上がるかどうかは、こうした指標の信頼性と市場参加者の拡大が鍵を握りそうだ。

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