AppleがWWDC 2026で披露した刷新版「Siri」が、iPhone、iPad、Macに分散する端末内データを横断的に参照し、ユーザーの意図を理解したうえで実際の操作までつなげる設計として注目を集めている。米TechRadarが報じた。
Appleは9日(現地時間)、iOS 27開発者ベータ、iPadOS 27開発者ベータ、macOS GoldenGate開発者ベータで新機能をデモした。中核となるのは、Siriが端末内の情報を横断して参照し、個人コンテキストを踏まえて応答する仕組みだ。
デモでは、知人に勧められたポッドキャストを尋ねると、Siriがメッセージ内から「Sherlock Holmes」のポッドキャストに関する言及を見つけ出し、再生の指示に応じてポッドキャストアプリを起動したという。
TechRadarは、Siriの強みについて、スマートフォンやPC内のデータを基にユーザーの意図をくみ取れる点にあると説明した。
インタフェースはプラットフォームごとに最適化した。iPadでは音声で呼び出せるほか、画面上部からのスワイプで小型のSiriウィンドウを表示できる。
iPhone 17 Pro Maxでは、電源ボタンの長押しで新たなフローティング型インタフェースを起動した。質問を言い終える前から応答を返し始める場面もあり、従来より会話のつながりが自然だったという。Web検索やChatGPTの利用を先に促す場面もほとんど見られなかった。
Macでは、SiriがSpotlightの役割を拡張した。従来通りアプリ起動に使えるだけでなく、新インタフェースでは「検索または質問」を前面に打ち出した。
複雑な問いでは、SiriがAppleの知識エンジンに接続して回答する。検索を開始した後もSiriウィンドウを表示したまま、別のデスクトップ作業を続けられる構成だ。
デモではアプリ間連携も大きなテーマとなった。ノートで選択したテキストを基にメールの下書きを作成したり、整理されていない長文メールをノート内のキャンプ用品リストに変換したりする使い方を示した。
これまでユーザーがアプリを行き来しながらコピーや整理をしていた作業を、Siriが橋渡しする形だ。
もっとも、こうした連携はまずApple純正アプリを中心に実装される。メッセージ、メール、ノート、ポッドキャスト、カメラでは、個人コンテキストの理解と操作実行が比較的自然に結び付いていた一方、WhatsAppやGmailなど外部アプリについては、今後開発者側がSiri連携機能を別途構築する必要があるとした。
カメラアプリにもSiriを組み込んだ。「写真」横のメニューからSiriを起動すると、ユーザーが見ている対象を同時に認識し、説明や選択に活用できるという。
一方で、解析時にはカメラアプリがその場面を撮影することも確認された。デモ中にはユーザーの発話が誤って入力された場面もあったが、Siriは修正なしでも意図を把握し、結果を提示したとしている。
回答の見せ方も改めた。Siriは回答ごとに出典を表示し、会話履歴はカード型の要約として整理した。新しい音声は表現力が増したものの、場面によってはなお調整段階にあるようにも見えたという。
TechRadarは今回のデモについて、「Apple流のAIアシスタント」の方向性を示すものだと評価した。Siriは単なるQ&A機能ではなく、メッセージ、メール、ノート、カメラ、Macの検索環境を結び付け、実際の行動につなげるシステムに近づいているとみている。
iPhone、iPad、Mac全体で同じコンテキストを引き継ぐ設計を、Appleは競争力として打ち出した格好だ。
ただ、現時点のSiriはベータ段階で、提供はウェイトリスト方式となる。外部アプリ連携の広がり、実際の応答精度、個人情報の取り扱いが、今後の評価を左右するポイントとなりそうだ。