Tim Draper氏。写真=Wikimedia Commons

ベンチャー投資家のTim Draper氏が、量子コンピュータの脅威を巡り、Bitcoinよりも先に伝統的な銀行システムが影響を受けるとの見方を示した。量子計算が暗号資産市場に及ぼす影響を巡っては、Bitcoinの耐量子対応を求める議論も続いている。

ブロックチェーンメディアのU.Todayが9日付で報じたところによると、Draper氏は、自身が保有するBitcoinは、銀行に預けた米ドルより安全だと述べた。

同氏は、量子コンピュータの標的はブロックチェーンより先に銀行になると主張した。仮にBitcoinネットワークが攻撃を受けた場合でも、最後に安全が確認できるブロックまで巻き戻す形でハードフォークを実施できるとの考えも示した。ただし、こうした対応にはマイナーやノード運営者を含む幅広い合意が必要で、実行のハードルは高いとも指摘した。

量子コンピュータがBitcoinに与えるリスクを巡っては、技術面の議論が続いている。Google Quantum AIは2026年3月のホワイトペーパーで、ECDSA-256の解読に必要な物理量子ビット数について、50万未満で足りる可能性があるとの試算を示した。これは2019年時点の推定値の20分の1に相当する。Bitcoin陣営では、耐量子アドレスの導入を目指すBIP 360や、「Pay to Merkle Root」の提案も浮上している。

Draper氏はあわせて、Bitcoinに対する長期的な強気見通しも改めて強調した。同氏によると、Bitcoinが4ドル前後だった頃から関心を持っていたが、ハードウェアメーカーの問題で実際にマイニングを始めたのは30ドルの時期だったという。その後、Mt. Goxの破綻で保有分をすべて失ったものの、2014年に米連邦保安官によるオークションで差し押さえられた約3万BTCを、1BTC当たり約632ドルで取得したとしている。

その後も同氏は、Bitcoinが米ドルに代わり得るとの主張を続けてきた。税金はスマートコントラクトで処理され、企業財務もBitcoinベースで運用される未来像を描く。2018年には、Bitcoin価格が25万ドルに達するとの予測を初めて示し、当初は2022年を目標時期としていた。その後、2022年の弱気相場とFTX破綻を受けて見通し時期を2025年に修正し、2026年初めには、今後18カ月以内に25万ドルに達するとの見解を改めて示している。

もっとも、量子コンピュータの脅威をどう織り込むかについて、市場の見方はなお分かれている。Draper氏は、Bitcoinの方が銀行預金より安全であり、ブロックチェーンにはロールバックを含む対処余地があると訴える。一方で、ネットワークが実際にそうした極端な措置に踏み切れるかは別の問題だ。Bitcoinの価格見通しとは別に、耐量子対応の議論が今後どこまで具体化するかが焦点となりそうだ。

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