写真=Reve AI。Wintermuteは、今回のビットコイン下落について、単一要因ではなく、ETF資金フローや投資主体の地域差、マクロ環境の変化が重なった結果だと分析した。

暗号資産マーケットメイク大手のWintermuteは、足元のビットコイン急落について、Strategyの売却そのものではなく、米機関投資家の資金流出と米国のビットコイン現物ETFからの継続的な資金流出が主因だとする分析を示した。需給はStrategyの売却前から弱含んでおり、現時点でも明確な回復シグナルは確認できないとしている。

Wintermuteが10日に公表した週次市場レポートによると、ビットコインは直近1週間で約14%下落し、6万2000ドルを下回った。昨年9月以来の安値圏となる。市場ではStrategyのビットコイン売却が下落の直接要因として取り沙汰されたが、同社は、下落の本質は売却規模ではなく、すでに悪化していた投資家心理と需給環境にあると分析した。

レポートでは、Strategyの売却量は32BTC程度にとどまり、市場全体への直接的な影響は限定的だったと指摘した。一方で、約4年ぶりに同社が売却に動いた事実そのものが、市場心理を冷やす材料になったとみている。

需給の悪化は、それ以前から進んでいたという。WintermuteはETFの資金フローや店頭取引(OTC)データを基に、売却報道が出る前から買い需要が鈍っていたと説明した。株式市場へ資金が向かう中で、ビットコイン相場を下支えする新たな買い手が不足していたとしている。

売りの主体についても、Strategyではなく米機関投資家が中心だったと分析した。約1カ月前には、米国マネーがビットコインを7万ドルから8万3000ドルまで押し上げたが、足元ではその資金が逆流し、市場から流出しているという。これに対し、欧州とアジアでは売買がおおむね均衡しているとした。

弱気地合いは、米国のビットコイン現物ETFの資金動向にも表れている。米国のビットコイン現物ETFは5月30日まで10営業日連続の純流出となり、上場以来で最長の連続流出を更新した。累計流出額は約29億7000万ドルに達し、5月単月でも約24億3000万ドルの純流出と、年初来で最大だった。

6月8日には9137万ドルが純流出した。同日、BlackRockのIBITからは2億3300万ドルが流出した。一方で、資金の一部はARK InvestmentとFidelityの商品に流入したと集計された。

マクロ環境もリスク資産の重荷となっている。5月の米非農業部門雇用者数は17万2000人増と、市場予想の約8万人を大きく上回った。これを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退し、米10年国債利回りは4.55%まで上昇した。同じ週にナスダック総合指数は4.7%下落した。Wintermuteは、堅調な経済指標が利下げ期待を後退させ、結果としてリスク資産の逆風となる局面だと位置付けている。

AI関連のハイテク株の軟調さも、相場の重しになった。Wintermuteは、AI関連銘柄の不振に加え、SpaceXの新規株式公開(IPO)を前に資金確保の動きが広がり、市場全体の流動性が低下した可能性があるとみている。

先行きについては、なお慎重な見方を崩していない。ETFへの資金流入再開の兆しは見えず、米国の中間選挙を控えたマクロ環境も引き続き重荷になると診断した。

もっとも、長期投資家の一部には現行水準で買いを入れる動きもあるという。OTCデスクのデータから、長期資金の一部が押し目買いに動いていることは確認できるものの、これをもって相場の底打ちシグナルと判断するのは時期尚早だとした。

次の焦点としてWintermuteが挙げたのが、12日に予定されるSpaceXのIPOだ。同社は、この案件が市場のリスク選好の強弱を測る重要な試金石になり得るとみる。需要が堅調であればリスク資産全般の追い風となる可能性がある一方、不調に終われば、ビットコインを含むリスク資産市場に追加の下押し圧力がかかる可能性がある。

このため市場では、今後のETF資金フロー、米機関投資家の売買動向、SpaceXのIPOの行方が主要な変数として注目されている。

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