世界のWi-Fiネットワークの約3分の1が、15年前に登場した旧規格「Wi-Fi 4」にとどまっていることが分かった。固定回線の高速化が進んでも、家庭内の無線環境が追いつかず、最新のスマートフォンやPCの性能を十分に引き出せていない実態が浮き彫りになっている。
TechRadarが9日付で伝えたところによると、インターネット速度測定企業のOoklaは最近の調査で、世界のWi-Fiネットワークの33.2%が依然としてWi-Fi 4ベースの機器を利用していると明らかにした。
問題は、ブロードバンド回線が高速化しても、宅内側の無線環境がそれに見合っていない点にある。スマートフォンやノートPCは比較的短い周期で買い替えが進む一方、家庭用ルーターは更新頻度が低い。このため、最新端末を使っていても、接続先のルーターが古ければ通信性能が頭打ちになりやすい。OoklaはWi-Fiを、宅内インターネットトラフィックの大半を支える中核的な手段と位置付けている。
規格別の構成比を見ると、最も多かったのはWi-Fi 5の38.3%だった。Wi-Fi 4は33.2%、Wi-Fi 6は26.7%だった。Wi-Fi Allianceの認証を2024年に受けた最新規格のWi-Fi 7は1.8%にとどまる。
旧型機器の制約は、単なる通信速度よりも利用できる周波数帯で大きい。Wi-Fi 4とWi-Fi 5は6GHz帯に対応しておらず、Wi-Fi 6EやWi-Fi 7が活用する帯域を使えない。端末側が6GHz帯対応でも、接続先のルーターが古ければ、その性能は生かせない。
こうした問題は、人口密集地域でより顕在化しやすい。Wi-Fi 4機器が主に使う2.4GHz帯には、Bluetooth機器や無線周辺機器、各種IoT機器が集中し、電波干渉が起きやすいためだ。
現在、世界の無線トラフィックの約60%は5GHz帯で処理されている。ただ、集合住宅が密集する地域では、複数世帯のルーターが同じチャネルを利用し、混雑が発生しやすいという。
家庭内のネットワーク環境も、Wi-Fi 4が設計された当時とは大きく変わった。いまではスマートフォンやノートPCに加え、スマートTV、ゲーム機、防犯カメラ、スマートホーム機器、リモートワーク向け機器など、多数の端末が同時接続されるのが一般的になっている。専門家は、現在の宅内ネットワークは当時とは比べものにならないほど複雑化しているとみている。
その結果、利用者は通信速度の低下や遅延の増大、接続の不安定化といった問題に直面しやすい。ビデオ会議やクラウドゲーム、4K動画配信の利用が広がるなか、旧型ルーターは通信品質を左右する主要因の一つになっている。
機器間の性能差も大きい。Wi-Fi 7ルーターは6GHz帯の320MHzチャネルを活用し、理論上は最大46Gbpsに対応できる。一方、広く普及しているWi-Fi 4ルーターは、最良条件でも最大600Mbpsにとどまる。TechRadarは、この水準では現在の4Kストリーミング需要への対応も余力が乏しいと伝えている。
インターネットサービス事業者がマルチギガビット級のブロードバンド商品を拡充するなか、こうした宅内側のボトルネックは今後さらに目立つ可能性がある。
市場調査会社Omdiaは、消費者向けWi-Fi 7の設置台数ベースが年平均35.2%で増加し、2030年には13.8%に達すると予測した。ただ、足元の普及率は1.8%にとどまっており、最新規格への移行にはなお時間を要しそうだ。
高速なスマートフォンとギガビット級のインターネット回線を契約していても、家庭内の無線インフラが古ければ、その性能を十分には享受できない。宅内ネットワークの弱点は、回線そのものではなくルーターにある可能性が高い。