イーサリアム市場で先物の未決済建玉の縮小と取引所残高の減少が同時に進んでいる。主要取引所のETH保有量はここ数日で48万ETH減少し、先物の未決済建玉もこの1カ月で25%減った。市場では、1500ドルが当面の重要な下値の節目として意識されている。
Cointelegraphが6月9日に報じたところによると、主要取引所のイーサリアム保有量はここ数日で大きく減少した。先物市場ではレバレッジ解消が進む一方、現物市場では取引所残高が減っており、需給構造の変化が注目されている。
変化がより鮮明なのは先物市場だ。暗号資産アナリストのアムル・タハ氏によれば、取引所全体のイーサリアム未決済建玉は、5月の166億ドルから126億ドルへ縮小した。最近の下落局面で先物ポジションの解消が進み、相場の過熱感が後退したことを示すという。
中でも減少が目立ったのはGate.ioだ。Gate.ioのイーサリアム未決済建玉は、5月7日の48億4000万ドルから6月9日には26億8000万ドルへ45%減少した。2025年4月11日に記録した26億7000万ドルに近い水準まで戻っている。
Bybitでも同様の傾向がみられた。現在の未決済建玉は約8億500万ドルで、2025年4月初旬の7億9500万ドル水準に接近している。
一方、Binanceはやや異なる動きとなっている。イーサリアムの未決済建玉は現在約27億6000万ドルと、大きく崩れてはいない。ただ、資金調達率はマイナス0.0047まで低下しており、市場ではショート優位の地合いがうかがえる。先物取引自体は活発ながら、投資家心理は慎重に傾いているとの見方が出ている。
現物市場でも、取引所残高の減少が確認された。Binance、OKX、Gemini、Bitfinexのイーサリアム保有量は、直近数日で合計約48万ETH減った。Binanceは6月4日の387万ETHから9日には365万ETHに減少。Bitfinexも5月末の267万ETHから250万ETHへ減った。
OKXは42万4000ETHから約33万6000ETHへ減少し、割合ベースでは最も大きな落ち込みとなった。Geminiの保有量も約52万2000ETH水準まで低下した。
取引所からの流出が続けば、買い需要が戻った際に売買可能な現物が細る可能性がある。現物の流動性が低下する一方で、先物市場の過度なレバレッジが解消されれば、イーサリアム相場は1500ドル近辺で需給の変化により敏感に反応しやすくなるとの見方もある。
オンチェーン指標も、保有者の収益状況がなお限定的であることを示している。市場コメンテーターのゴンザ・ゴス氏は、現在のイーサリアム供給量のうち、取得価格比で3倍超の含み益状態にある割合は11%にとどまると明らかにした。2017年2月以降で最低水準で、大規模な利益確定売りが出やすい局面ではない可能性を示唆しているという。
市場の視線は1500ドルに集まっている。投資家のアシ・クリプト氏は、イーサリアムが2022年の弱気相場で主要な支持線を維持できず、当時の安値が880ドル近辺で形成されたと振り返った。その上で、週足終値が1500ドルを上回れば歴史的に重要な支持帯を維持する形になる一方、割り込めば次の主要な支持帯は1000ドル近辺に移る可能性があると指摘した。
目先の焦点は2つある。先物市場で追加の清算が続くかどうか、そして取引所外へ移されたイーサリアムが実際に流通量の減少につながるかどうかだ。Binance先物でショート優位が続く一方、主要取引所の保有量減少も続けば、1500ドルを維持できるかがイーサリアムの次の方向性を左右する可能性が高い。