韓国科学技術情報通信部は6月10日、大規模災害時に消防隊員と一般利用者の通話を優先的に扱う「緊急救助通信優先転送サービス」を開始したと発表した。通信3社が専用SIMを導入し、回線混雑時でも現場の通信を確保する。
同サービスは、消防庁と通信各社の提案を踏まえ、同部が「網中立性ガイドライン」に定める特殊サービスの要件を満たすことを確認した上で導入された。大規模火災や複合災害などで通信需要が急増する局面でも、消防隊員が一般利用者と行う通話を優先的に処理するのが柱だ。
通信3社は、消防業務に使う法人携帯や車載ナビゲーション端末などに専用SIMを搭載し、一般利用者の回線とは区別して識別する仕組みを整えた。通信トラフィックが集中した場合でも、消防隊員の通信を優先的に流せるようにする。
サービス開始のきっかけは、LG Uplusが社会貢献事業として消防庁に提案したことだった。その後、SK TelecomとKTが加わり、通信3社による共同推進の形に発展した。
現行の「網中立性ガイドライン」は、インターネット上のトラフィックを等しく扱うことを原則とする一方、用途の限定や別途の品質管理など一定の要件を満たす場合は特殊サービスとして扱い、優先転送などを認めている。韓国科学技術情報通信部によると、2011年のガイドライン制定以降、この要件に適合すると認められた初の事例という。
サービスは「緊急救助」という限定された用途に絞り、安定した通信品質を確保する形で運用する。
大規模災害の現場では、通信需要の急増によって一時的な遅延や回線混雑が起きる可能性があると指摘されてきた。今回の優先転送サービスの導入により、極度の混雑時でも消防隊員と一般利用者の間の通話の安定性が高まり、迅速な救助対応につながるとみている。
一方、このサービスは、政府が構築・運用する災害安全通信網「PS-LTE」とは役割が異なる。PS-LTEが消防庁など災害安全機関の職員同士の通信を支えるのに対し、優先転送サービスは消防隊員と通報者、医師など一般利用者との通話を支援する。
同部は、海外の主要国では両方式を併用し、緊急救助対応の効率を高めていると説明した。
さらに、年末までに通信3社の5Gスタンドアロン(SA)構築が完了すれば、機関別や利用者別に最適化した品質保証をより効率的に提供できるようになるとの見方も示した。緊急救助通信を含む公共安全通信サービスの高度化も進むとしている。
韓国科学技術情報通信部のナム・ソク通信政策官は「今回の緊急救助通信優先転送サービスが、災害時に国民の生命と安全を守る上で寄与することを期待している」と述べた。
消防庁関係者は「災害現場で最も重要なのは迅速な状況共有と指揮・統制だ」とした上で、「商用移動通信網でも優先転送が可能になったことで、現場対応の速度と正確性が一段と高まる」と話した。