写真=トランプ一族と連携する暗号資産プロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」

米ブロックチェーンメディアのCryptoSlateは9日(現地時間)、ドナルド・トランプ米大統領一族が2024年11月から2026年4月にかけて暗号資産関連事業で約23億ドルの税引き前収益を得る一方、同期間に関連プロジェクトへ投資した個人投資家や上場企業の株主は計約22億5000万ドルの損失を被ったとする分析を報じた。

分析対象となったのは、トランプ一族と関係の深い暗号資産プロジェクトや関連上場企業の取引実態だ。CryptoSlateは、運営側がトークン販売や収益分配の段階で利益を先取りし、その後の価格下落リスクは投資家側に残る構図が浮き彫りになったとしている。

最大の収益源とされたのは、分散型金融(DeFi)プロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」だった。WLFIは2024年10月にガバナンストークンの販売を開始。ドナルド・トランプ・ジュニア氏とエリック・トランプ氏がプロジェクトの周知に関与し、DeFiサービスとステーブルコインのエコシステム構築を掲げた。

CryptoSlateによると、トランプ一族とつながるDT Marks DeFi LLCは、費用控除後のトークン販売収益の75%を受け取る権利を持つとされる。この仕組みにより、トランプ一族には約9億8700万ドルが帰属したと試算された。

一方、投資家側は長期のロックアップと上場後の価格下落に直面した。2026年4月末時点で、WLFIトークン投資家の累積損失は約6億7400万ドルに達したという。

ミームコイン「TRUMP」でも同様の傾向がみられた。TRUMPは第2次トランプ政権の発足直前に投入され、実需よりも政治的な知名度を背景にした投機色の強い資産とみなされてきた。

分析では、TRUMP関連事業は総額12億ドル超の収益を生み、このうち約6億1600万ドルがトランプ一族に帰属したと推計した。これに対し、トークン価格は最高値の75.35ドルから大きく下落し、投資家損失は7億ドルを超えたとしている。

上場企業を通じた資金流入も確認された。NASDAQ上場のALT5 Sigmaはその後、社名をAI Financialに変更し、新株発行で7億5000万ドルを調達。このうち約7億1700万ドルをWLFIトークンの購入に充てた。

CryptoSlateは、この取引を通じて5億ドル超がWLFIの収益分配構造を経由し、トランプ一族に流入したとみている。ドナルド・トランプ・ジュニア氏とエリック・トランプ氏は、取引完了後にNASDAQの開場イベントにも出席したとされる。

ただ、ALT5 Sigmaの株価は大幅に下落した。2025年8月には9ドル超で推移していたが、2026年4月末には0.75ドル前後まで低下。これに伴い、同社株主の損失は約6億7500万ドルに上ると試算された。

CryptoSlateは、トランプ一族の収益がトークン販売の時点でほぼ確定していたため、その後の市場価格下落とは実質的に切り離されていたと指摘した。

別の収益源としては、ビットコイン採掘企業American Bitcoinも挙げられた。ドナルド・トランプ・ジュニア氏とエリック・トランプ氏は現金支出なしで同社持ち分を確保したとされ、株価下落後もエリック・トランプ氏の保有価値は7000万ドルを上回ると評価された。

一方でAmerican Bitcoinの株価は、上場時の11ドルから2026年4月末には1.15ドル前後まで下落。外部投資家の損失は2億ドルを超えたと推計された。CryptoSlateは、こうした収益規模は主要な暗号資産企業の業績と比べても大きいと分析している。

比較対象として、同期間のCoinbaseの収益は約21億ドル、ビットコイン採掘企業IRENは約1億2700万ドルだった。BlackRockの現物ビットコインETF「IBIT」事業の収益も約1億900万ドル規模と見積もられた。

こうした議論が広がる中、ホワイトハウスは政権の目標について、米国のデジタル資産分野における競争力強化だと説明した。WLFI側も、同プロジェクトは政治目的ではなく民間のフィンテック事業だと主張している。

これに対し、民主党議員は別の見方を示している。エリザベス・ウォーレン上院議員らは、米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)に対し、政権と暗号資産事業の利害関係が規制判断に影響する可能性があるとして懸念を表明した。

トランプ政権はステーブルコイン法案の推進とあわせ、暗号資産に比較的友好的な規制方針を維持してきた。一方、監視団体は、大統領一族が直接関与する業界で規制緩和が進むこと自体、利益相反を招く余地があると指摘する。

業界内では今回の分析について、トークン販売収益や創業者持ち分、初期配分を通じて運営側が先に収益を押さえ、価格変動リスクを一般投資家が負担する構造を示した事例だとの見方が出ている。投資家がトークンを直接買わなくても、上場企業の株式を通じて同様のリスクにさらされる可能性があるという指摘もある。

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