エルサルバドルでは法定通貨としての扱いを縮小した後も、政府によるビットコイン買い増しが続いている。写真=Shutterstock

エルサルバドルは、ビットコインの法定通貨としての受け入れ義務を見直した後も、政府による買い増しを続けている。政府保有量は7677BTCに達しており、これまで保有分を売却していない。

Bitcoin Magazineが9日(現地時間)に報じたところによると、同国政府が保有するビットコインの価値は約4億8000万ドル(約720億円)に上る。

エルサルバドルは2021年6月8日、議会で賛成62、反対22でビットコイン法を可決した。これにより、ビットコインに法定通貨の地位を与えた世界初の国となった。政府はその後も、ビットコインを国家戦略の柱の一つに据えてきた。

買い増し方針を鮮明にしたのは、ナジブ・ブケレ大統領が2022年11月に「1日1ビットコインを購入する」と表明してからだ。エルサルバドルはドルコスト平均法(DCA)に基づく購入を続け、2025年6月以降の12カ月で1600BTC超を積み増した。昨年11月の相場下落局面では、1週間で1000BTC超を取得する機動的な買いも実施した。

制度面では後退もあった。エルサルバドル政府は2025年1月、14億ドル(約2100億円)規模の国際通貨基金(IMF)融資パッケージの条件に沿って、ビットコインの法定通貨としての受け入れ義務を撤回した。これにより、企業はビットコイン決済を受け入れる法的義務を負わなくなった。ブケレ政権が主要インフラとして打ち出していたChivo Walletも、段階的な縮小・廃止の手続きに入っている。

もっとも、政府の保有戦略そのものは変わっていない。国庫で保有するビットコインは一切売却しておらず、希望する利用者は引き続き決済手段として利用できる。El Salvador Bitcoin Officeは2026年初め、国家としてビットコインと人工知能(AI)の両分野に全面的に注力する方針も示している。

税制面でも暗号資産を軸にした投資誘致策を維持している。エルサルバドルは、ビットコインを含む暗号資産取引にキャピタルゲイン課税を課していない。政府は2026年初め、この方針を改めて強調し、海外投資家の呼び込みを進めた。あわせて、ビットコインを基盤とする「volcano bond」構想や、地熱エネルギーを活用するビットコインシティ計画も推進している。

一方、ブケレ大統領がビットコイン法導入時の主要な狙いとして掲げた海外送金拡大の効果は、なお限定的だ。エルサルバドル経済は海外送金への依存度が高く、個人送金は国内総生産(GDP)の約24%を占める。2026年1〜3月期の送金額は24億3000万ドルだったが、このうち暗号資産経由は1738万ドルにとどまり、全体の0.71%だった。

エルサルバドルのビットコイン政策は、制度面では後退しつつも、政府保有と投資誘致ではなお中核に据える構図が鮮明になっている。Chivo Walletの縮小や受け入れ義務の撤回後も買い増しを止めていない点が、足元の政策の核心といえそうだ。

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