各国政府のソブリンAI投資拡大が、NVIDIAの新たな成長要因として注目されている。写真=Shutterstock

NVIDIAにとって、各国政府によるソブリンAI投資の拡大が新たな追い風になりそうだ。国家主導のAIインフラ整備が広がることで、売上が一部の大手クラウド事業者に偏る顧客集中リスクの緩和につながるとの見方が出ている。

米CNBCが8日(現地時間)に報じたところでは、米投資家のJim Cramer氏は、NVIDIAのソブリンAI関連事業が、投資家が懸念してきた顧客集中問題の緩和に寄与する可能性があると評価した。

焦点となっているのは、顧客構成の変化だ。これまで市場では、AmazonやAlphabet、Microsoftなどのハイパースケーラーが独自AI半導体の開発を加速させ、長期的にNVIDIAへの依存を下げる可能性が指摘されてきた。売上の相当部分を少数の顧客に依存する構造は、NVIDIAの潜在的なリスクとみなされてきた。

Jim Cramer氏は、NVIDIAがこうしたリスクを和らげるため、顧客基盤の拡大を進めていると説明した。自社製品への依存を減らそうとする顧客に業績を左右されないよう、より幅広い顧客層の開拓を進めているという見方だ。

その中核に位置付けられるのがソブリンAIだ。ソブリンAIは、各国政府が自国内でAIインフラやデータセンター、計算資源を整備し、技術主権の確保を目指す取り組みを指す。AIが国家競争力を左右する重要分野になりつつある中、各国は自前のAIエコシステム構築に動いている。

Jim Cramer氏によると、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOはこの1年、各地を訪問しながらソブリンAIの重要性を訴えてきた。

実際に、シンガポール、インド、日本、ドイツ、スイス、台湾、イスラエル、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアなどが、NVIDIAの技術を基盤とするAIインフラ構築プロジェクトに投資しているとされる。顧客基盤が従来のビッグテック中心から、政府や公共プロジェクトへ広がりつつあることを示す動きといえる。

市場では一方で、ハイパースケーラーによるAI投資の採算性を巡る懸念もくすぶる。巨額の資金を投じてAIインフラを整備しているものの、それに見合う収益が十分に見えていないとの指摘があるためだ。Jim Cramer氏は、ハイパースケーラーによる大量購入には採算面を疑問視する声がある一方、政府による調達は性格が異なると説明した。

各国政府によるAIインフラ整備は、短期的な収益確保よりも、産業競争力の維持や技術主権の強化を目的とする。このため、民間企業とは異なる投資判断に基づく需要になるとの見方を示した。

こうした特性は、NVIDIAの事業の安定性にもプラスに働く可能性がある。民間企業は景気動向や投資効率に応じて調達規模を見直す余地がある一方、国家プロジェクトは比較的長期かつ安定した需要につながりやすいという。

Jim Cramer氏によると、足元でソブリンAI関連事業はNVIDIA全体の約14%を占める。進行中のプロジェクトが本格的な構築段階に入れば、この比率はさらに高まる可能性がある。各国政府がソブリンAI計画向けにNVIDIA製チップを大規模に調達しており、この需要だけでもハイパースケーラー依存は徐々に薄まるとの見方を示した。

業界では、大手クラウド各社による独自AIチップ開発競争が激しくなる中、NVIDIAが各国のAIインフラ市場でどこまで速く存在感を高められるかが、今後の成長を左右する重要な変数になるとみられている。

AIを巡る技術主権競争が世界的に広がる中、ソブリンAIがNVIDIAの新たな中核収益源として定着する可能性も浮上している。

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