Anthropicが公開した「Claude Fable 5」が、生成AIのコード生成競争で新たな注目を集めている。単一のプロンプトでビデオゲームや複雑な可視化ツールを作成できるうえ、仕様書に沿って長時間にわたり作業を継続できる点が特徴だ。
米TechCrunchが9日(現地時間)にこう報じた。これによると、同モデルはAnthropicが開発してきた「Mythos」系モデルとして初の一般公開版だという。
Fable 5は、単なるコード補完にとどまらない。長文の仕様書を基に、数時間単位で作業を続けられる点が注目されている。ペンシルベニア大学の研究者、イーサン・モリック氏はテスト後、Fable 5について「公開されているAIモデルの大半を大きく上回る」と評価した。
モリック氏は特に、長時間のタスクをこなす実行力を高く評価した。「複数の課題で卓越した能力を示し、驚くべき成果物を生み出した」としたうえで、「数ページに及ぶ仕様書に沿って、最長12時間にわたり作業を継続した」と明らかにした。単純な質疑応答よりも、長時間実行や複合タスクで強みを発揮した格好だ。
デモではゲーム生成が目を引いた。モリック氏によると、「Claude Code」を使い、最初のプロンプト1回だけで複数のゲームを作成したという。生成されたゲームの1つ「Snake」は、画面内を移動しながらリンゴを食べるクラシックなアーケードゲーム風で、画面外に出ると即座に終了する仕様となっている。
別のゲーム「Strata」は、終わりのない地下トンネルを探索しながらランプをともす内容だ。グラフィックスには粗さが残るものの、単一のプロンプトだけで実際に動作するゲームを生成した点が注目される。モリック氏はこのほか、ドイツの詩人ライナー・マリア・リルケの連作詩を基にした「Duino」も作成した。夜景の中でキャラクターを動かすと、画面上に詩の一節が表示される仕組みという。
ゲーム以外の用途でも性能を示した。モリック氏はFable 5を使い、2地点間の移動時間を可視化する等時圏地図も作成した。成果物は、正確性と細部の表現の両面で完成度が高かったとしている。
今回の公開は、生成AIがソフトウェア開発の工程を急速に短縮しつつあることを示す事例といえる。従来なら複数の開発者を必要としたゲームや地図ツール、複雑な仕様ベースのプロジェクトが、いまや単一のプロンプトから形にできる段階に入ってきた。開発人材を完全に代替する水準にはなお達していないものの、企画やプロトタイピング段階の参入障壁を大きく下げているとの見方が出ている。
焦点は今後、Fable 5が実際の開発環境でも同様の成果を再現できるかに移る。今回の事例は、公開型AIモデルの競争軸が単純なコード生成能力を超え、長時間実行、仕様理解、成果物の完成度へと広がっていることを示した。AIモデルの競争水準が急速に引き上げられていることを示す例として受け止められている。