中国の半導体企業やプラットフォーム企業、国有資本が連携して長期資金を供給する枠組みが動き出した。写真=Shutterstock

中国の主要テック企業と国有系投資機関が、半導体など中核技術分野向けの長期投資ファンドを設立した。規模は39億1000万元(約850億円)。米国による技術・半導体分野の輸出規制強化を背景に、研究開発から商用化までを支える長期資金基盤を整える狙いがある。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が9日、報じた。新ファンド「Changzhi Hanhai Private Investment Fund」は上海市浦東新区に登録された。半導体を中心とするディープテック分野に対し、研究開発と事業化を長期で支える「ペーシェント・キャピタル(忍耐資本)」の供給を目的に掲げている。

ペーシェント・キャピタルは、投資回収までに時間を要する先端技術分野の特性を踏まえた長期資金を指す。中国当局は金融機関に対し、長期の研究開発や技術の事業化を支える資金供給の拡大を促してきた。

出資には民間テック企業と国有系投資機関が参加した。最大の出資者は、中国のDRAMメーカーCXMT(ChangXin Memory Technologies)の子会社Changxin Xinju Equity Investment Anhuiで、出資比率は30%。これに広東省拠点の信託会社Dongguan Trustが29.4%、上海の国有資本が支援するSSCI Leading Fundが20%で続く。

このほか、Alibabaの投資会社Hangzhou Haowei Enterprise Managementが10.2%、中国の半導体製造装置メーカーAMECが7.7%を出資した。

市場では今回のファンド設立について、中国の半導体投資戦略の変化を映す動きとの見方が出ている。先端半導体や製造装置を巡る輸出規制が強まる中、対外依存を抑え、自主技術の開発を支える長期資本の土台づくりを急いでいるためだ。

一方、中国半導体産業の代表的な政策資金である「国家集積回路産業投資基金(ビッグファンド)」は、投資方針の見直しを進めている。規制当局への開示によると、ビッグファンドは年初から、シリコンウエハーメーカーのNational Silicon Industry Group(NSIG)やファウンドリー大手SMICなどの株式を一部売却し、少なくとも100億元を回収した。

今回のファンドで特に注目されているのがCXMTだ。中国を代表するDRAMメーカーで、生産能力の拡大と技術開発を進めている。先月には上海証券取引所から295億元規模の新規株式公開(IPO)の承認を得ており、計画通りに進めば、今年の中国本土で最大級のIPO案件の一つになる見込みだ。

AlibabaもCXMTの初期投資家として知られる。Alibaba CloudとAlibaba China Network Technologyは現在、CXMT株を合わせて4.97%保有している。今回のファンド参加についても、中国国内の中核半導体サプライチェーンと戦略技術への長期関与を維持する動きと受け止められている。

ただ、CXMT、Alibaba、AMECなど関係各社は、ファンドに関する公式なコメントを出していない。

市場では、今回の動きを中国半導体産業が短期収益よりも研究開発力の強化を重視し始めた事例と評価する声がある。国家主導ファンドが一部で資金回収に動く一方、民間企業と国有資本が新たな投資ビークルを共同で組成したことで、半導体投資の枠組みが再編局面に入りつつあるとの見方も出ている。

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