ビットコインは6万ドル近辺まで急落した後、やや持ち直している。ただ、オンチェーン分析企業Glassnodeは、現物市場やデリバティブ市場、現物ETFの動向を総合すると、市場はなお「危険水域」にあるとの見方を示した。
米ブロックチェーンメディアThe Crypto Basicが8日(現地時間)に報じた。Glassnodeの週次レポートによると、足元のビットコイン相場では売り圧力が依然として強く、投資家心理も弱気に傾いている。
ビットコインは月初に約7万3000ドルから6万ドル割れまで下落した後、6万1000ドル台を回復した。もっとも、現物取引、デリバティブ、上場投資信託(ETF)、オンチェーン指標をみると、市場全体の地合いはなお弱いという。
まず目立つのは買いの勢いの鈍化だ。ビットコイン価格のモメンタム指標は10.6まで低下し、統計レンジ下限の31.6を大きく下回った。Glassnodeは、短期的に相場が深い売られ過ぎの局面に入り、買いの勢いが大きく後退したことを示すとしている。
現物市場でも売り優勢が鮮明となった。中央集権型取引所(CEX)の現物CVDはマイナス1億6880万ドルまで低下し、統計レンジ下限のマイナス2億90万ドルに接近した。積極的な売りとポジション整理が進んだことを示す。
一方で、現物取引量は78億ドルに増加した。価格下落局面でも投資家の売買は活発で、足元のボラティリティ上昇に合わせて取引が膨らんだことが確認された。
先物市場でも警戒感がにじむ。先物の未決済建玉は325億ドルに減少したが、なお統計レンジの300億~380億ドル内にとどまった。Glassnodeは、レバレッジポジションの縮小と投機需要の後退を示唆すると分析した。
ロングポジションのファンディング支払額は97万ドルに低下した。無期限先物のCVDはマイナス8億7680万ドルとなり、統計レンジ下限のマイナス4億6930万ドルを下回った。
オプション市場でも弱気姿勢が強まった。オプションの未決済建玉は、統計レンジ下限の330億ドルを割り込んだ。トレーダーがポジションを閉じたり利益確定を進めたりして、エクスポージャーを縮小したことを意味する。
ボラティリティ・スプレッドは22.15%と上限レンジを上回り、25デルタ・スキューも15.68%で上限レンジを超えた。Glassnodeは、トレーダーがプットオプションにより高いコストを支払っているとして、下落に備える需要が強まり、市場見通しも一段と慎重になったとみている。
機関投資家の資金フローも保守化している。ビットコイン現物ETFからは週間で14億ドルが流出した一方、取引量は縮小せず、週間売買代金は182億ドルへ急増した。現物ETFのMVRVは1.01まで低下し、下限基準の1.0に近づいた。
これは、機関投資家の平均的な保有評価額が取得コストに近づいていることを示す。そのため、短期的な利益確定売りの圧力は限定的にとどまる可能性があるとの分析も出ている。
オンチェーン指標は一部で相場の下支え要因となった。日次アクティブアドレス数は66万1100件に増加し、統計レンジ内で上向いた。エンティティ調整ベースの送金量も72億ドルに増え、上限レンジに接近した。
一方、手数料総額は減少し、実現時価総額の変化率はマイナス0.7%とマイナス圏に沈んだ。
それでも、長期保有者の存在感は維持されている。短期保有者に対する長期保有者の供給比率を示すSTH対LTH供給比率は14.0%へ小幅に上昇したが、なお統計レンジ下限の14.7%を下回った。市場心理は弱いものの、ネットワーク活動と長期保有基盤は大きく崩れておらず、ビットコインの短期的な方向感は、売り圧力と長期保有者の下支えのどちらが勝るかが焦点となりそうだ。