ゲーム業界で少数株主の動きが活発化している。株価低迷の長期化を背景に、Pearl Abyss、Devsisters、Wemadeの株主が説明会の開催や自社株買い・消却、情報開示の強化などを相次いで求めている。従来は株主総会での発言にとどまっていた不満が、株式の取りまとめや要求書の提出など、具体的な行動に広がってきた。
業界関係者によると、これらの企業では少数株主が株主還元の拡大に加え、経営陣報酬の見直しや新作開発状況の開示強化なども要求している。株価の下落が長引くなか、個人投資家の不満が組織的な株主行動へと発展している格好だ。
◆Pearl Abyss、初配当と自社株消却を発表
Pearl Abyssでは、少数株主連帯が10日に集会開催を予告するなか、同社が9日の取引終了後に企業価値向上計画と自社株消却を発表した。創業以来初めて配当方針も示し、年100億ウォンと当期純利益の10%のいずれか大きい金額を毎年支払うとした。
あわせて、保有する自己株式の4.4%のうち半分に当たる140万3945株を12日に消却する。前日終値ベースの金額は約540億ウォン。下半期には1000億ウォン規模の自社株買いも進める計画だ。
少数株主連帯によると、今回の発表には、臨時株主総会の議題として求めていた配当拡大、既存の自己株式消却、1000億ウォン規模の自社株買い・消却、機関投資家向けIRの強化、次期作ロードマップの公開など、主要な要求項目が事実上反映されたという。これを受け、10日の集会は当初予定していた株価対策と対話強化を求めるデモ形式から、会社の対応を評価する応援メッセージ中心に切り替えて実施するとしている。
株主の不満の背景には、新作「紅い砂漠」発売後の株価推移がある。株価は4月1日に取引時間中で7万7400ウォンまで上昇し、約4年ぶりの高値を付けたが、9日の終値は3万8600ウォンと、その後は高値の半分程度の水準まで下落した。
次期作「DokeV」と「プラン8」の開発進捗が市場に十分伝わっていないことも、投資家心理の重荷になっていた。
9日時点で少数株主側が取りまとめた持ち分比率は4.99%。商法上、一定比率以上を保有する株主は臨時株主総会の招集請求などの少数株主権を行使できるため、会社側としても無視しにくい状況だった。Pearl Abyssは株主説明会についても、7月中の開催に向け日程を調整していると明らかにした。
◆Devsisters、少数株主の圧力受けCFO主催の説明会
Devsistersも少数株主の要求を受け、株主説明会を開く。12日にイム・ソンテク最高財務責任者(CFO)主催で説明会を開催する。少数株主連帯が内容証明郵便で株主書簡を送る準備を進めるなかで決まった。
株主行動プラットフォーム「アクト」を通じて集まったDevsistersの少数株主持ち分は7.06%に達した。商法上の臨時株主総会招集請求の基準である3%を大きく上回る水準で、少数株主側は臨時株主総会を通じた監査選任まで予告している。会社側にとっても、要求を軽視しにくい局面だ。
背景には、新作不振と業績悪化がある。3月に発売した「Cookie Run」IPベースのモバイルアクションゲーム「Cookie Run: OvenSmash」が期待に届かず、株価は下落。少数株主を中心に経営陣の責任を問う声が強まった。株価は年初比で57%下落した水準にある。
こうした反発を受け、会社側も踏み込んだ対応を打ち出した。チョ・ギルヒョン代表と、イ・ジフン、キム・ジョンフンの取締役会共同議長は、経営の安定性が確保されるまで報酬を全額返上する。主要役員の報酬も50%削減する。
あわせて、代表取締役直属の「コスト管理TF(タスクフォース)」を新設し、全社を対象とした希望退職の実施と新規採用の一時停止も進める。
Devsistersは、収益性と成長性を軸にゲームおよびIP事業のポートフォリオも見直す。Cookie Run IPへの依存度が高いとの指摘を踏まえ、主要タイトルと実質的な成果が見込めるIPに資源を集中し、新規プロジェクトでは事業性の検証を強化する方針だ。少数株主の要求は、単なる株価対策にとどまらず、事業構造や費用統制、経営責任にまで広がっている。
◆Wemade株主、本社で「12大要求案」を提出
Wemadeの少数株主は、より直接的な行動に出た。株主代表は2日、京畿道城南市のWemade本社を訪れ、役員に「12大要求案」を提出した。内容には、自社株3%以上の買い入れ・消却、新作「ナイトクロウ2」の開発状況の公開、2027年までの役員給与・賞与の引き上げ制限などが盛り込まれている。経営陣と直接対話できる説明会やAMA(Ask Me Anything)の開催も求めた。
Wemadeは3月24日に公表した企業価値向上計画で、現金配当100億ウォンまたは連結営業利益の20%を株主還元の原資に充てる方針を示している。ただ、株主側はそれだけでは不十分として、自社株消却など、より直接的な株価対策を求めている。
配当が現金還元の性格を持つのに対し、自社株消却は市場に流通する株式数を減らし、1株当たり価値の向上につながる。このため、株価押し上げ効果を期待する株主の要求が自社株買い・消却に集中したとみられる。
Wemadeの株価は9日終値で1万7020ウォンとなり、年初比で36%下落した。
同社は3月の定時株主総会でも少数株主から厳しい声を受けた。当時、パク・クァノ代表は総会後に約1時間20分にわたる即席の説明会を開き、「今年は黒字幅がさらに拡大する」と述べたうえで、「人工知能を活用したゲーム開発の革新で競争力を高める」と説明していた。
◆ゲーム業界で株主還元圧力が強まる
これら3社に共通するのは、ゲーム株に対する市場の信認低下だ。Pearl Abyssは株主圧力を受けて企業価値向上計画を打ち出し、Devsistersでは新作不振と業績悪化が経営責任論に発展した。Wemadeでは長期の株価下落を背景に、配当よりも強い自社株買い・消却要求が前面に出ている。
市場では半導体や人工知能関連に資金が集まる一方、ゲーム株は新作ヒットの不確実性、ライブサービス成長の鈍化、コスト負担の増加などを背景に相対的に見劣りしてきた。中堅ゲーム企業を中心に株主還元拡大を求める声が強まるなか、一部企業は先回りする形で対応を進めている。
Webzenは今年、時価総額の約20%に当たる900億ウォン規模の株主還元方針を発表した。Com2uSは発行済み株式の5.1%に相当する自己株式を消却し、148億ウォンの現金配当を決めた。NEOWIZも2025〜2027年の3年間に連結営業利益の20%を還元する中長期方針を示している。
ゲーム業界で少数株主の動きは当面続く可能性が高い。新作の成果が株価に十分反映されない、あるいは事業の不確実性が解消されない場合、株主側は説明会要求にとどまらず、株主提案や臨時株主総会招集など制度上の手段を本格的に活用する可能性がある。ゲーム各社は新作開発や業績改善に加え、情報開示、資本政策、責任経営のあり方も問われる局面に入った。
業界関係者は「以前は株主総会で不満を表明する程度だったが、今はプラットフォームを通じて株式を取りまとめ、実際の株主権行使につながる構造になった」と指摘。「ゲーム会社は業績や新作だけでなく、株主との対話や資本政策にも目配りが求められる時代になった」と話した。