米議会に提出された戦略的ビットコイン備蓄法案(H.R.8957)の全文が公表され、連邦政府が保有するビットコインに20年間の処分制限を課す仕組みや、四半期ごとの準備金証明(PoR)を義務付ける方針が明らかになった。
ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineが8日(現地時間)に報じた。同法案は、戦略的ビットコイン備蓄の枠組みを連邦法として恒久化する内容を盛り込んでいる。
公表された法案の名称は「2026年米国準備金近代化法」で、法案番号はH.R.8957。ニック・ベギチ下院議員が5月21日に提出し、ジャレッド・ゴールデン下院議員を含む20人超が共同提出者に名を連ねた。法案は下院金融サービス委員会に付託されている。
法案の柱は、備蓄に組み入れたビットコインの長期保有義務だ。戦略的ビットコイン備蓄に移されたビットコインは、20年間にわたり、売却、交換、競売、担保設定など、いかなる形でも処分できないとしている。
刑事または民事の没収手続きで確保したビットコインは「適格ビットコイン」に分類され、備蓄に移されるたびに20年の保有期間が改めて起算される。
20年経過後も自由に売却できるわけではない。財務長官は議会審査を経たうえで、2年間にわたり、備蓄資産全体の10%を上限として売却を勧告できる。ビットコインを短期運用資産ではなく、長期保有資産として位置付ける設計だ。
透明性確保に向けた規定も盛り込んだ。政府保有分のビットコイン全量について、四半期ごとに公開の暗号学的検証を行うPoRを義務付ける。独立した第三者監査に加え、会計検査院による監督も定めた。
ビットコイン以外のデジタル資産は別建てで扱う。政府が確保したEthereumなどの非ビットコイン資産は「デジタル資産備蓄分」として別途保管し、その処分代金はビットコイン備蓄の拡大、または国家債務の圧縮に充てるとしている。ビットコインを中核に据え、他のデジタル資産は補完財源として活用する構図だ。
ビットコイン取得の財源にも制約を設けた。法案は、政府がビットコインを取得する際、新規借り入れや新規課税、財政赤字支出を用いることを明示的に禁じている。
代替策として、財務省と商務省は法施行後180日以内に、予算中立の取得手段を共同で検討する。対象には、ビットコイン以外の備蓄資産の転換、連邦準備制度からの剰余金送金、金証書の再評価が含まれる。
州の参加に関する条項も盛り込まれた。各州は、保有するビットコインを財務省の分別口座で保管できる。また、いかなる条項も民間保有のビットコインの押収を認める根拠として解釈してはならないと明記した。政府備蓄の拡大と民間の財産権保護を併記した形だ。
今回の法案により、戦略的ビットコイン備蓄が単なる行政命令の枠を超え、どのような保管ルールや処分制限、公表義務を課すのかが具体化された。2025年3月のドナルド・トランプ米大統領の行政命令を踏まえつつ、より広範な保管、監査、取得制限の仕組みを法律に落とし込む内容となっている。
法案は現在、下院金融サービス委員会での審議手続きを待っている。今後の焦点は、政府保有ビットコインの長期ロックアップとPoR義務をどう制度化するか、さらに借り入れや増税に頼らず備蓄を拡大する予算中立の枠組みをどう設計するかに移る。