暗号資産市場が6月に入って急速に冷え込んでいる。時価総額は5日間で約15%縮小し、XRPは17%、ビットコインは18%下落した。こうしたなか、過去にXRPの急騰を予測したアナリストのドナルドは、市場はもはや以前のような単純な構造ではないとの見方を示した。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが5日(現地時間)に伝えた。
ドナルドは、2024年末にXRPが0.5ドルから3.5ドルまで700%上昇する可能性を比較的正確に示し、注目を集めた人物だ。
足元の相場については、これまでの上昇分がほぼ打ち消され、市場センチメントも大きく悪化したと指摘。そのうえで、市場の構造自体が以前よりはるかに複雑になったと分析した。
同氏によると、投資家は単純な売買判断だけでは対応しにくくなっている。過度に膨らんだデリバティブ市場に加え、数多くの上場投資信託(ETF)が乱立し、スマートコントラクトではAIを悪用した攻撃リスクまで織り込む必要があるためだ。
暗号資産市場は本来、資産の本源的価値よりも「信頼」を軸に拡大してきたが、現在は外部のかく乱要因への警戒が強まり、個人投資家がポジションを維持する負担が大きくなっているという。上昇シナリオを描くよりも、想定外の変数をどう管理するかが重要な局面に入ったとの見方だ。
その象徴的な事例として挙げたのがZcash(ZEC)の急落だ。AnthropicのAIモデル「Claude」を活用してOrchardプールの重大な脆弱性が見つかった後、ZECは1日で約48%下落した。
ドナルドは、この局面を買い場とはみていないと明言した。コードへの信頼が大きく損なわれたうえ、プロジェクト再建の明確な道筋も見えないことを理由に挙げた。
一方で、足元の米国市場の資金動向は数少ない安定材料だという。現物ETFでは、数日続いた純流出が止まり、資金流入に転じた。
イーサリアム現物ETFには17日間の流出後に1930万ドル(約29億円)が流入した。ビットコイン現物ETFも13日間の減少基調の後、304万ドル(約4億5600万円)の純流入を記録した。
XRP現物ETFも383万ドル(約5億7400万円)の純流入となった。
もっとも、こうした資金流入が直ちに強いリスク選好の回復を意味するわけではない。ウォール街では押し目買いの動きもみられるが、ドナルドは現在の市場を「企業戦争」の局面と表現し、自ら資金を投じる考えはないとした。
同氏は、積極的な買いを再開する条件も示した。ビットコインが今週、心理的な抵抗線とされる7万1000ドルを上回ったまま週末を迎えれば、資産購入を本格的に再開するという。
今後の焦点は大きく二つある。第一に、ETFへの資金流入が短期的な反発の土台になり得るかどうか。第二に、セキュリティ脆弱性やデリバティブ拡大、ETF乱立といった構造的な重荷を抱えるなかでも、ビットコインが7万1000ドルを回復できるかどうかだ。
ドナルドの発言は、2026年の暗号資産市場が、もはや以前のような単純なリスク資産市場としては機能していないことを示している。
ドナルドは「センチメントは最悪で、皆が苦しんでいる。通常なら大量に買う準備をする局面だ。しかし今は、5つのSaylor型ポンジや100本のETF、さらにAIによるエクスプロイトまで気にしなければならない。手間がかかりすぎる。単純だった時代が恋しい」と語った。