CXMTのPC向けDDR5参入は、価格競争よりも供給構造の変化という点で注目されている。写真=Shutterstock

中国のメモリ半導体メーカーCXMTが、PC向けDDR5市場への参入準備を進めている。実現すれば、これまでSamsung Electronics、SK hynix、Micronが主導してきたPCメモリの供給構図に変化をもたらす可能性がある。業界では、価格競争の激化よりも、調達先の多様化という点で意味合いが大きいとの見方が出ている。

Gigazineが6月8日付で報じたところによると、CXMTのPC向けDDR5メモリモジュールは現在、複数のメモリベンダーで評価が進んでいる。実際に出荷に至れば、供給不足と価格上昇が続くPCメモリ市場に新たな選択肢が加わることになる。

PC向けDDR5市場は足元で、Samsung Electronics、SK hynix、Micronの3社が事実上シェアを握っている。Micronがコンシューマー向けメモリの出荷を縮小するなか、PCメモリメーカーの間では新たな調達先を確保する動きへの関心が高まっている。

2016年設立のCXMTは、中国を代表するメモリ半導体メーカーの一社だ。DDR5やLPDDR5Xの開発を進めてきたほか、最大8000Mbps級のDDR5メモリの開発にも成功したとされる。現在はデスクトップPCとノートPC向け市場への参入を視野に、生産体制の整備を進めている。

もっとも、市場が期待したような「低価格の中国製DDR5」とは見方が異なるとの指摘もある。関係者によれば、CXMT製品の価格はSamsung Electronics、SK hynix、Micronの製品と比べて大きな差はないという。

このため、低価格を武器にシェア拡大を狙うというより、安定供給を通じて存在感を高める可能性が大きいとみられている。

なかでも強みとして挙がるのが、供給の優先順位だ。CXMTは他の3社と異なり、AIデータセンター向け製品を最優先する戦略を取っていないとされる。PC向けメモリベンダーにとっては、コンシューマー向け製品の供給を確保しやすくなる余地がある。

メモリ業界では、AIサーバーや高帯域幅メモリを軸に再編が進んでいる。こうした流れと比べると、CXMTの動きはPC市場における別の調達先として受け止められている。

初期の採用先は普及価格帯になる公算が大きい。CXMTのメモリモジュールは、まずエントリークラス製品に採用され、当初の販売先も中国市場が中心になる見通しだ。その後、供給地域を段階的にグローバル市場へ広げるシナリオが取り沙汰されている。

短期的にプレミアムPCメモリ市場全体を揺るがすというよりは、中国国内の普及価格帯メモリで影響力を高めながら、徐々に市場を広げていく展開が見込まれる。

一方で、CXMTを巡っては技術流出疑惑という懸念材料もある。韓国の検察は、Samsung Electronics出身者が半導体技術を流出させ、CXMTのメモリ開発に活用された疑いについて捜査している。昨年末には、Samsung Electronicsの元役員らが関連容疑で起訴された。

業界では、CXMTのDDR5市場参入は当面、メモリ価格を大きく押し下げる要因というより、調達先の多様化と競争促進の面で意味を持つとみられている。量産とグローバル供給が本格化すれば、PCメモリ市場の需給構造にも一定の影響を与えそうだ。

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