写真=Donut Lab

Donut Labが次世代技術として打ち出した全固体電池を巡り、試験セルの実態は一般的なリチウムイオン電池である可能性が高いとする外部分析が浮上した。技術の検証を巡る議論は、同社の情報開示や投資家保護の問題にも波及している。

電気自動車専門メディアのElectrekが8日、現地時間で報じた。記事によると、電池研究者のジロスは20人以上の外部電池専門家とともにDonut Labの試験セルを分析し、同社が主張するナトリウムイオンベースの全固体電池ではなく、リチウムイオン電池である可能性が高いと結論付けたという。

焦点となっているのは、Donut LabがCES 2026で公表した電池性能だ。同社は当時、エネルギー密度400Wh/kg、充放電寿命10万回、5分充電が可能だと説明し、業界の注目を集めた。一方、その後の独立検証では主要指標の裏付けが得られず、関係者の間では実現性を疑問視する声が上がっていた。

調査チームは、電圧曲線とセル膨張データを主な根拠として示した。試験セルは充電率50%付近で3.7〜3.8Vの電圧特性を示しており、これは高ニッケル系リチウムイオン電池で一般的に見られるパターンだと指摘した。これに対し、ナトリウムイオン電池は同じ条件下でより低い電圧特性を示すとされる。

セルの膨張挙動についても、リチウムイオン電池に近いとの分析が示された。専門家は、黒鉛負極で見られる典型的な膨張曲線がDonut Labの試験セルでも確認されたと指摘。算出したエネルギー密度は約298Wh/kgと推定され、同社が示した400Wh/kgの目標を大きく下回るとしている。

技術のサプライチェーンを巡っても疑問が出ている。調査によると、技術はドイツ企業のCT Coatingsが提供し、Nordic Nanoが製造、Donut Labが商用化を担う枠組みだったとみられる。ただ、Nordic Nanoには電池セルの量産実績がないと伝えられている。

商用化を巡る説明にも食い違いがある。Donut Labは今年1〜3月期、消費者向け車両の出荷に言及していたが、その後に公開された内部資料では、初期生産分は製造工程の改善を目的に社内車両へ使用したと説明したという。さらに、CESで公表した400Wh/kgのセルは実際の量産車両には適用していないことも認めたと報じられた。

資金調達の過程も検証対象となっている。Donut Labは1300人超の株主を抱え、その多くは小口投資家とみられる。CESでの発表後、企業価値は12億5000万ドル(約1875億円)規模と評価された一方で、中核技術に関する独立検証資料は公表されていなかった。

今回の問題は技術検証にとどまらず、投資家保護の論点にも広がっている。現地報道によれば、フィンランドの金融当局と捜査当局も関連事案を検討しているという。

業界では、Donut Labが打ち出した電池性能と実際の技術水準との間に大きな乖離があるかどうかが、今後の焦点になるとみられている。

キーワード

#Donut Lab #全固体電池 #リチウムイオン電池 #ナトリウムイオン電池 #電気自動車 #CES 2026
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.