ビットコイン(写真=Shutterstock)

ビットコイン(BTC)は、一時6万ドルを割り込んだ後、押し目買いに支えられて6万3000ドル前後まで持ち直した。市場では、米利下げ観測の後退に加え、人工知能(AI)分野への資金シフトや機関投資家のセンチメント悪化が重なり、相場を押し下げたとの見方が広がっている。

8日付のブロックチェーンメディアDecryptによると、ビットコインは6日に一時5万9227ドルまで下落。その後は反発し、足元では6万3000ドル前後で推移し、前日比1.4%高となった。

下げはビットコインにとどまらず、暗号資産市場全体に波及した。イーサリアム(ETH)は一時1500ドル、ソラナ(SOL)は63.75ドルまで下落。主要アルトコインの多くも2桁安となり、市場全体の清算額は16億ドルを超えた。

下落の背景の一つが米雇用指標だ。5月の米非農業部門雇用者数は17万2000人増と、市場予想の8万5000人増を大きく上回った。4月分も上方修正され、年内の利下げ期待は後退した。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchによると、年末時点でも高金利が維持される確率は42.7%に上昇した。市場の関心は、今週公表される米消費者物価指数(CPI)と、16〜17日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)に移っている。

AI投資競争の激化も、暗号資産市場には逆風として意識されている。Googleは今週、840億ドルを調達した。MetaもAI投資の原資確保に向け、数百億ドル規模の追加資本調達を進めているという。

さらにSpaceXは、12日のナスダック上場を控え、公募価格を1株135ドルに設定した。調達額は約750億ドル、企業価値は約1兆7500億ドルとされた。

暗号資産市場では、こうした大型調達がリスク資産全般から資金を吸い上げているとの見方が出ている。マイケル・セイラー氏、マティ・グリーンスパン氏、ジェイムソン・ロップ氏も、これまで暗号資産に向かっていた資金がAI投資サイクルに流れているとの認識を示した。

機関投資家の買い需要への期待が後退したことも、相場の重しとなった。Decryptは、Strategyが4年ぶりにビットコインを売却し、市場心理を冷やしたと報じた。継続的な買い増しで知られた企業の戦略変化が、投資家の不安を強めたとの見方だ。

資金フローも弱含みを示した。ビットコイン現物ETFは1日で3億2500万ドルの純流出となり、週間の純流出額は17億2000万ドルに達した。イーサリアム現物ETFも週間で1億7400万ドルが流出した。

もっとも、急落後には押し目買いが入り、市場は一部で落ち着きを取り戻しつつある。週末には暗号資産のショートポジションが5億ドル超清算され、弱気筋の損失は大きく膨らんだ。

個別銘柄ではZcash(ZEC)が大きく反発した。開発チームは、プライバシープール「Orchard」で判明した4年間に及ぶ偽造の脆弱性に対応するため、ネットワークアップグレード「Ironwood」を提案。その後、ZEC価格は45%上昇した。

規制面では、米議会で暗号資産課税の見直し論議が本格化している。下院歳入委員会は今週の公聴会に先立ち、関連法案の草案7本を公表した。柱は、少額取引の非課税、マイニング・ステーキング報酬の課税時期見直し、ステーブルコイン取引の現金類似扱い、暗号資産へのウォッシュセール規定の適用、プロトレーダーによる時価評価会計の選択、過去の未申告分に関する内国歳入庁(IRS)のセーフハーバー、寄付時の鑑定評価負担の軽減などだ。

市場は当面、金利動向に加え、大型資金調達の日程やETFの資金フローを見極める展開となりそうだ。Decryptは、AI分野への資金流入が少なくとも数週間続く可能性があるとし、今週のCPIとFOMCを経て相場の方向感がより明確になる可能性があると伝えた。

一方で、金価格が2023年10月以来初めて200日移動平均線を下回ったことで、資金の一部がビットコインに向かう可能性も指摘されている。ただ、Strategyの売却で揺らいだ市場の信認が回復するには、なお時間を要するとの見方が多い。

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