経済学者ピーター・シフ氏(写真=Wikimedia)

Strategyがビットコイン(BTC)を1550BTC追加取得し、総保有量を84万5256BTCに積み増した。これに対し、金の支持者として知られるビットコイン懐疑派のピーター・シフ氏は、今回の買い増しそのものよりも、資金調達に伴う希薄化が既存株主の価値を損なっていると批判した。

ブロックチェーンメディア「The Crypto Basic」が8日(現地時間)に報じたところによると、今回の購入額は約1億100万ドル。StrategyのBTC保有量は84万5256BTCに増えた。

同社は保有するBTCの価値を約539億2000万ドルとしている。あわせて、ドル建て準備金も約1億ドル増えたという。もっとも、市場の関心は購入規模そのものより、調達手法と既存株主への影響に向かっている。

シフ氏はX(旧Twitter)への投稿で、Strategyの直近の資金調達手法は、もはや既存の普通株主に有利ではないと主張した。これまでは、純資産価値を上回る価格で普通株を売却し、相対的に配当負担の小さい優先株を発行することで、BTC購入資金を確保してきたという。

その結果、過去には新株発行による希薄化を上回るペースでBTC保有量が増え、1株当たりのBTCエクスポージャーはむしろ拡大していたと説明した。

一方で足元では状況が変わったとシフ氏はみる。新規発行に伴う希薄化が、1株当たりのBTC増加分を上回るようになり、普通株1株当たりのBTC保有価値は時間の経過とともに低下しているという。そのうえで、既存株主に事実上「マイナスのビットコイン利回り」を負わせていると批判した。

さらに同氏は、Strategyが既存株主の価値向上よりも、追加購入を通じて市場のBTC需要を支えることを優先していると指摘した。マイケル・セイラー氏(Strategy取締役会議長)が今回の購入発表で、既存株主の希薄化を見極めるうえで重要な詳細を意図的に外したとの見方も示した。

実際、今回の発表では、過去の開示で示していた「ビットコイン利回り」指標が盛り込まれなかった。シフ氏はこれを踏まえ、同社のBTC買い増し戦略は事実上限界に達したとの見方を示した。現時点で、同社やセイラー氏はシフ氏の主張に対する立場を明らかにしていない。

今回の買い増しが注目を集めた背景には、その直前の動きもある。Strategyは先週、32BTCを売却しており、2022年以降では初の売却だった。暗号資産市場では買い増し方針の転換を懸念する声も出たが、同社はその直後に大規模な追加取得に踏み切り、従来の戦略を維持した。

今後の焦点は、Strategyが同様の手法でBTC取得を続けるのか、また将来の開示で1株当たりのBTC価値に関する指標を再び示すのかに移っている。今回の発表は、保有量の拡大以上に、その拡大分が既存株主にどう帰属するのかを巡る議論を改めて浮上させた。

シフ氏はXへの投稿で次のように述べた。

「$MSTRの当初のモデルは、普通株をプレミアムで売却し、想定されるビットコインの上昇率を下回るクーポンの優先株を発行することで、プラスのビットコイン利回りを生み出していた。だが今では、@Saylorはビットコイン相場を下支えするためだけに、普通株主にマイナスのビットコイン利回りを受け入れさせている」

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