暗号資産取引所FTXの共同創業者、サム・バンクマン=フリード氏が、トランプ氏に恩赦を正式に申請した。米司法省は申請を受理したが、申請区分は「刑期終了後の恩赦」とされており、内容は非公開となっている。
ブロックチェーンメディアのDecryptが8日に報じたところによると、バンクマン=フリード氏は米司法省の恩赦手続きに沿って申請書を提出し、受理された。
同氏は詐欺と共謀の罪で2024年に有罪判決を受け、25年の刑に服している。米司法省の恩赦弁護士室のウェブサイトでは、この申請が「刑期終了後の恩赦」の区分で掲載されている。
この区分は、刑期を終えた後に恩赦を求める手続きにあたる。申請書は非公開文書のため、申請理由の詳細は明らかになっていない。審査には数カ月から数年かかる可能性があるという。
一方、米司法省の恩赦弁護士室は、この区分で申請した人は、まず刑期を終える必要があると説明している。
バンクマン=フリード氏は最近、服役中にFox Businessの電話インタビューに応じた。その中で、「トランプ大統領が恩赦するなら受け入れるか」と問われ、「もちろんだ」と答えた。
また、判断するのは自分ではなく大統領だとしたうえで、「最終的には大統領次第だ」と述べた。
ホワイトハウスと直接接触したかとの質問には明言を避けた。ホワイトハウス関係者と直接話したことはないとしつつ、両親や近しい人物が接触したかどうかについては、自身の立場では言えないとした。
同氏はあわせて、自身の無罪主張も改めて繰り返した。「顧客資金を盗んではいない」と述べ、破産手続きを通じて顧客は最終的に全額返済を受けたと主張したうえで、そこに3年を要したことが問題だったとの認識を示した。
市場や政界では、恩赦を視野に入れた動きが数カ月前から取り沙汰されていたとの見方も出ている。バンクマン=フリード氏のXアカウントは2月、米国の暗号資産市場構造法案「Clarity法案」を支持する投稿を行い、民主、共和両党の上院議員の関心を集めた。
当時、シンシア・ルーミス上院議員は「誰かが恩赦を狙っている」と公に反応し、「あなたの支持は必要でもなければ望んでもいない」と突き放した。
今後の焦点の一つは、トランプ大統領の従来の姿勢だ。トランプ氏は過去に、バンクマン=フリード氏への恩赦の可能性を否定したことがある。
もっとも、トランプ氏が暗号資産業界の関係者を恩赦した前例はある。Silk Road創業者のロス・ウルブリヒト氏、BitMEX共同創業者のアーサー・ヘイズ氏、ベンジャミン・デロ氏、サミュエル・リード氏、Binance共同創業者のチャンポン・ジャオ氏らが恩赦を受けた。
ただ、刑期の面からみても、実際の釈放までなお時間がある。バンクマン=フリード氏の服役期間は現時点で2年あまりにとどまる。
報道によると、当時の量刑を分析した専門家は、同氏が少なくとも21.25年は服役するとの見方を示していた。今回の申請は象徴的な意味合いは大きいものの、制度上、短期間で進展する可能性は低い。
今後は、トランプ大統領の政治判断に加え、今回受理された申請区分が実際に恩赦論議のルートとして機能するのかどうかが注目点となる。