Strategyは7日現在、84万3706BTCを保有しており、上場企業として最大のビットコイン保有企業の地位を維持している。ブロックチェーンメディア「The Crypto Basic」によると、この保有量はビットコインの発行上限である2100万BTCの約4%に相当する。
同社は旧MicroStrategy。共同創業者で会長のマイケル・セイラー氏の主導の下、ソフトウエア企業からビットコインを中核資産とする企業へと戦略を転換してきた。現金同等物に加え、転換社債や株式発行などを通じて調達した資金を活用し、継続的に買い増しを進めている。
累計の取得額は638億7000万ドルで、平均取得単価は1BTC当たり7万5701ドル。一方、足元のポートフォリオ評価額は530億9000万ドルと、取得額を16%下回る水準にある。ビットコイン価格が6万3000ドル前後で推移しているため、含み損は107億8000万ドルに達する計算だ。
同社の買い付け手法は、相場のタイミングを狙うというより、継続的に積み上げる定期買い付け型に近い。セイラー氏はこれまで、ビットコインを長期的な価値保存手段であり、企業の準備資産になり得ると繰り返し主張してきた。実際、同社は上昇局面でも下落局面でも、この6年間にわたって購入を続けている。
もっとも、市場が注目しているのは追加購入だけではない。小規模な売却にも視線が集まっている。Strategyは6月1日、米証券取引委員会(SEC)に提出した8-Kで、5月26日から31日にかけて32BTCを平均7万7135ドルで売却したと開示した。
売却量は保有全体の0.0038%にとどまるが、市場では同社がこれまで掲げてきた「売却しない」方針に変化が生じた可能性を示すシグナルとして受け止められた。今後も同様の小口売却が行われる可能性は残る。会社側は、従来の一律非売却という考え方から、保有資産をより機動的に管理する姿勢へと軸足を移しつつあることを示している。
ただ、基本スタンスはなお売却より買い増しにある。セイラー氏は、高値局面でもビットコインを買い続ける考えを示しており、2140年までに新規採掘されるビットコインについても取得対象になり得るとの見方に言及している。
資金調達の設計もStrategyの特徴だ。同社は営業キャッシュフローのみに依存せず、転換社債、増資、優先株発行などを組み合わせ、ビットコイン購入余力を拡大してきた。直近では「STRC」と呼ぶ優先株商品も投入した。機関投資家向けに月次配当型の収益機会を提供する設計で、年11.5%の利回りを提示している。
保有規模だけを見れば、Strategyは他社を大きく引き離している。ビットコインを保有する企業は270社、総保有量は154万BTCとされる。このうちStrategyの保有量は、他の上場企業を大幅に上回る。最も近い上場企業であるTwenty One Capitalの保有量は4万3514BTCで、Strategyはその19倍超を保有する。
非上場企業との比較でも優位は変わらない。Block.oneが率いる民間企業全体の保有量は30万463BTCで、Strategyを54万3243BTC下回る。ビットコイン現物ETFでは、BlackRockの「iShares Bitcoin Trust」(IBIT)が81万1291BTCを保有しており最も規模が近いが、それでもStrategyより3万2415BTC少ない。
一方で、こうした集中戦略は株価の変動率を高める要因にもなっている。投資家の間ではStrategy株をビットコインの間接投資手段とみる向きが強いが、値動きはビットコインそのものより大きくなりやすい。直近1カ月では、ビットコインが21%下落する間にStrategy株は35%下落した。過去1年でも、ビットコインの下落率40%に対し、同社株は70%近く下げた。
負債や資本市場での調達に依存しながら保有量を積み増す構造が、ボラティリティを一段と高めているとの見方もある。その結果、Strategyの企業価値はビットコインの長期トレンドと一段と強く連動する構図となった。上場企業で最大のビットコイン保有高を背景に、同社は機関投資家のデジタル資産導入を巡る議論で一つの基準点になっている。
半面、ビットコイン相場が不安定化する局面では、その高い集中度が業績や株価に直接響き、市場心理の重荷にもなり得る構造が改めて浮き彫りになっている。