韓国株式市場ではSamsung ElectronicsとSK hynixが大きく変動する一方、Samsung Electro-MechanicsとLG Innotekは相対的に底堅く推移している。市場では、AI向け部品の需要はメモリー価格の変動とは異なる要因で決まるとの見方が広がっている。
先週後半まで半導体主力株が調整色を強めるなかでも、Samsung Electro-MechanicsとLG Innotekは比較的しっかりした値動きを見せた。5日はSamsung Electronicsが6%台、SK hynixが10%近く下落したのに対し、Samsung Electro-Mechanicsは2%台上昇し、LG Innotekの下落率も1%台にとどまった。
もっとも、韓国株が急落した8日にはSamsung Electro-Mechanicsが5.3%安、LG Innotekが5.6%安となり、両社も全面安に連れ安した。同日はSamsung Electronicsが10.2%安、SK hynixが7.7%安だった。
業界によると、NVIDIAの次世代「Vera」CPUに採用されるSOCAMM2について、メモリー搭載量が減るとの情報が広がり、メモリー需要の鈍化懸念が浮上した。調査会社SemiAnalysisは、従来はモジュール当たり192GBで設計されていたSOCAMM2の容量が96GBに引き下げられたほか、Vera CPUのLPDDR5搭載量も1.5TBから768GBに調整したバージョンが追加されたと伝えた。
表面上は需要減に映るものの、業界の受け止めは異なる。メモリー需要が落ち込んでいるのではなく、深刻な供給不足のなかでシステムの生産量を増やすためのNVIDIAの現実的な対応だという見方が強い。
LPDDRの供給難が深刻化する一方で、Vera CPU単体とVera Rubinラックの需要は強い。このため、ラックの生産量を引き上げるには、CPU当たりの搭載量を一部抑える必要があったとの分析が出ている。
証券業界も同様の見方を示している。Daishin Securitiesは、Vera Rubin向けSOCAMMの搭載量は減少したものの、NVIDIAのCPU向けDRAMの総アドレス可能市場(TAM)に変化はないと指摘した。
1台当たりの搭載量が減ってもTAMが維持されるのであれば、市場予想を上回る数のGPUが出荷されることを意味する。搭載量の縮小はスペックの低下ではなく、供給不足に伴う一時的なノイズにすぎないという説明だ。
メモリー関連株と部品株の値動きが分かれた背景には、収益を左右する変数の違いがある。Samsung ElectronicsやSK hynixの株価は本質的にメモリー価格に連動しやすく、固定価格が崩れれば利益予想もすぐに下方修正されやすい。
これに対し、Samsung Electro-MechanicsとLG Innotekの主力製品である積層セラミックコンデンサー(MLCC)、FC-BGA、カメラモジュールは、価格そのものより搭載量と出荷量が業績を左右する。
AIサーバー1台当たりに搭載されるMLCCの数量や基板面積は、メモリー価格が下がっても減りにくい。今回の仕様調整の背景には、サーバー市場でのLPDDR採用拡大に加え、スマートフォンやPC向けとの需給競争の激化があるとみられている。
AIインフラの拡大が続く限り、システムに搭載される部品量はメモリー単価の動きとは切り離して見られる、というのが市場の見方だ。
今後、メモリー搭載構成の多様化が進めば、部品需要の下支え要因になる可能性もある。Eugene Investment & Securitiesによると、HBM4の12段構成を計画していたAMDのMI400は8段版と12段版の2モデルになる見通しだ。16段が想定されていたNVIDIA Rubin Ultraも12段中心の供給となり、量産段階では12段と16段が併存する可能性があるという。
供給余力が確保されれば、搭載量を再び積み増し、性能を最大化する方向に向かうとの見方も出ている。
今回の調整は、AIバリューチェーンのボトルネックが依然としてメモリーにあることを改めて示した。業界によると、メモリーメーカーの北米主要顧客向け需要に対する供給充足率は50~60%にとどまる。
2030年まで供給不足が続く可能性があるとの見方が広がるなか、長期供給契約(LTA)を結ぶ動きも拡大している。
こうした流れを受け、サプライチェーン確保に向けた長期契約も具体化してきた。NVIDIAとSK hynixは8日、次世代メモリーの共同開発と、半導体の設計・製造の加速に向けた長期技術パートナーシップを締結したと発表した。世界のAIファクトリー構築を支えることが狙いだ。
SK hynixは、NVIDIAのAIインフラのロードマップに合わせ、Vera RubinのAIスーパーコンピューター、Vera CPU、RTX Spark PC、Jetson Thorロボティクスプラットフォーム向けのメモリーを共同開発する計画だ。
NVIDIAの最高経営責任者(CEO)、ジェンスン・フアン氏は「AIファクトリーは次の産業革命のエンジンであり、その性能を引き出すには先端メモリーが不可欠だ。次世代メモリーを共同開発し、世界のAIインフラ拡大を支えていく」とコメントした。
SKグループのチェ・テウォン会長は「長年にわたり築いてきた基盤の上に、今回のパートナーシップは両社の協力関係の深さを示すものだ」と述べた。