画像=Naver Chzzk公式ラウンジ

Naverは、ストリーミングプラットフォーム「Chzzk」で2026年北中米ワールドカップの全104試合を独占配信する。1080pのライブ配信とフル試合の見逃し配信は、「Naver Plus Membership」またはChzzkの有料商品加入者に限定する。大型スポーツ配信をテコに、有料会員の拡大につなげる狙いだ。

Naverは中央グループとの契約を通じて、FIFAワールドカップの国内向けニューメディア配信権を確保した。北中米ワールドカップは、この契約後にChzzkで配信する初の大型案件となる。

大会は6月12日から7月20日まで開催される。48カ国が参加し、39日間で104試合を行う過去最大規模の大会だ。Chzzkはオンラインプラットフォームとして全試合を単独配信する。

視聴条件は会員種別によって異なる。Naver Plus Membership(月額4900ウォン、約539円)または、Chzzkの広告非表示商品「チートキー」(月額1万4300ウォン、約1573円)の加入者は、全試合を1080pでライブ視聴できるほか、フル試合の見逃し配信も利用できる。

一方、未加入者が視聴できるのは韓国代表戦のみで、画質は480pに限られる。他国の試合は主要シーンのクリップやハイライト配信のみとなる。Naverが大型スポーツのライブ配信で、高画質視聴と全試合アクセスを有料会員特典として打ち出すのは初の本格事例とみられる。2022年カタールワールドカップや今年2月の冬季五輪中継では、全ユーザーに高画質の無料ライブ配信を提供していた。

◆会費収入より経済圏拡大を優先

Naver Plus Membershipは2020年6月の開始以降、拡大を続けている。会員関連売上高は2025年に2357億ウォン(約259億円)となり、前年の1952億ウォンから20.7%増えた。2024年11月のNetflixとの提携など、コンテンツ特典の拡充も成長要因の一つとみられる。

今回の一部有料化の背景には、配信権コストの負担もある。JTBCが公開したワールドカップ全体の放映権料は約1億2500万ドル(約188億円)で、ニューメディア向けの独占配信権はJTBCから再販売された。業界では、Naverの支出額は少なくとも300億ウォン(約33億円)以上に上るとの見方が出ている。

Naverの事業報告書によると、2025年12月時点の単体ベースの無形資産は約2711億ウォン(約298億円)と、前年の約895億ウォンから203%増加した。増加要因として、ワールドカップや五輪などの配信権取得を挙げている。

もっとも、会費収入だけで配信権料を回収するのは容易ではない。最低見積もりの300億ウォンを月額4900ウォンで単純計算しても、600万人超の新規加入が必要になる。実際には無料体験やクーポン、インフラ費用も加わるため、負担はさらに重い。市場で、狙いは会費回収そのものより会員基盤とサービス経済圏の拡大にあるとの見方が出るのはこのためだ。

有料の選択肢は2つあるが、「チートキー」の月額1万4300ウォンに対し、Naver Plus Membershipは月額4900ウォンと3分の1程度に抑えられている。Naver Plus Membershipでは、ショッピングのポイント還元や外部提携特典を提供しており、最近は「AIタブ」の先行提供対象にもなった。単独サービスへの課金ではなく、Naver全体のサービス利用へ誘導する設計との見方もある。

ワールドカップを機に加入したユーザーは、Chzzkの視聴に加え、Naver Plus StoreのクーポンやNaver Payのポイント還元を通じて、ショッピングや予約サービスにも接しやすくなる。Naverは新規加入者向けに、初月会費の返金クーポンやNaver Payの追加還元を前面に打ち出し、加入のハードルを下げている。ワールドカップ自体は短期イベントだが、加入者がその後もNaverのコマースやコンテンツサービスに継続的に接する導線を築く構図だ。

業界関係者は「ワールドカップのように国民的関心が集まるイベントは、通常であれば有料会員を検討しないユーザーを呼び込む契機になり得る」と指摘する。「一度加入したユーザーがショッピングクーポンやNaver Payの特典まで体験すれば、解約の動機は弱まりやすい」と話している。

◆AIサービス強化とも連動

ワールドカップを通じた会員獲得は、NaverのAI戦略とも重なる。Naverは4月、新たなAIサービス「AIタブ」をNaver Plus Membership会員向けに先行提供し、今月中の正式リリースを目指している。

AIタブは、統合検索、ショッピング、プレイス、ブログ、カフェなどNaverの主要サービスを横断し、検索から実行までつなぐ対話型検索サービスだ。Naverは、検索からショッピングや予約へつながる「実行型AIプラットフォーム」への転換を掲げており、会員の行動データはその中核資産と位置付けられる。

焦点はワールドカップ後の定着率にある。韓国代表のグループリーグ3試合は、12日午前11時のチェコ戦、19日午前10時のメキシコ戦、25日午前10時の南アフリカ共和国戦と、いずれも平日午前に組まれた。会社員や学生にとってはリアルタイム視聴が難しい時間帯だ。

代表がグループリーグで早期敗退した場合、ワールドカップへの関心と会員流入効果が同時に鈍る可能性もある。480pへの画質制限に対するユーザーの反発や、オンラインプラットフォームに「ユニバーサル視聴権」条項が適用されない制度上の空白を巡る議論も、今後の負担要因になり得る。

別の業界関係者は「Naverが実行型AIプラットフォームを目指す以上、会員の行動データの重要性は一段と高まる」と述べる。「ワールドカップ経由で流入した加入者が、視聴にとどまらずショッピング、決済、予約まで利用すれば、コンテンツとコマースをまたぐ利用導線の把握につながる接点はその分広がる」としている。

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