Teslaの電気自動車「Model Y」で、急速充電の利用比率が高い条件でも、6カ月で1万6000マイル(約2万6000km)走行後のバッテリー容量維持率が99%だった事例が報告された。
電気自動車専門メディアのInsideEVsは7日(現地時間)、カナダのModel Yオーナーが実施したバッテリーテストで、新車比99%の容量維持率が確認されたと伝えた。
電気自動車のバッテリー劣化を巡っては、急速充電の多用が性能低下を早めるとの見方が一般的だ。今回の事例は、充電方法や日常的な管理の仕方によって、劣化の進み方が変わり得る可能性を示している。
このオーナーは6カ月の間に、家庭用の普通充電で2588 kWh、DC急速充電で2888 kWhを充電した。充電量ベースでは、急速充電が普通充電を上回っていた。
車両データを追跡するアプリでバッテリー性能の低下が見られなかったことから、確認のため改めてバッテリーテストを実施したという。
テストはバッテリー残量20%から開始。5kW以上を供給できるAC電源に接続し、システム上ほぼ0%まで放電した後、100%まで充電し直す方法で行われた。満充電までは約20時間を要した。
その結果、容量維持率は99%となり、オーナーが事前に見込んでいた96〜97%を上回った。満充電時に表示された航続距離は326マイル(約525km)で、新車時と同水準だった。
オーナーは高い維持率の要因として、急速充電前に必ずバッテリーを予熱していたことと、通常の充電上限を75%に設定していたことの2点を挙げた。加えて、残量が35%を下回らないよう管理していたことも明らかにした。
今後も同様の運用を続け、家庭用充電と公共充電を併用しながら、6カ月後に同じテストを再び実施する計画としている。
今回の事例は、急速充電は無条件に避けるべきだとする見方とは異なる示唆を与える。とりわけ、ニッケル・マンガン・コバルト系バッテリー搭載車でも、充電上限を80%未満に抑え、残量の過度な低下を避けることで、劣化の影響を抑えられる可能性が浮かび上がった。
もっとも、今回の結果だけで急速充電を巡る議論に結論が出たとみるのは早計だ。検証対象は1台の車両で、期間も6カ月にとどまるためだ。
それでも、新品バッテリーは初期段階での劣化が比較的大きく、その後は緩やかになるという従来の観察結果とは整合する。実使用環境では、急速充電の頻度だけでなく、充電前の予熱、充電上限の設定、低残量の回避といった日常の管理が、バッテリー状態を左右する重要な要素になり得ることを示した。