イーサリアムは先週、一時1500ドル台まで下落した。現物ETFからの資金流出、取引所への流入増加、デリバティブ市場でのレバレッジ縮小が重なり、需給の悪化が意識されている。
ブロックチェーンメディアのCryptoSlateによると、イーサリアムは7日、1506ドルまで下落し、2025年4月以来の安値を付けた。
下落は現物相場の弱さだけではない。現物ETFからの資金流出に加え、取引所への入金が増加し、先物市場ではディレバレッジも進んだ。ビットコインも6万ドル近辺まで下げ、4カ月ぶりの安値圏に沈んだことで、暗号資産市場全体のセンチメントも悪化した。
まず重荷となっているのがETF市場だ。SosoValueの集計では、イーサリアム現物ETFは4週連続で資金流出となり、純流出額は累計8億7000万ドルを超えた。この間、17営業日連続で流出が続き、純流入となったのは1930万ドルを記録した1日だけだった。
その結果、イーサリアム現物ETFの運用資産は、ピーク時の300億ドルから87億1000万ドルへ減少し、縮小率は70%を超えた。
取引所への流入拡大も相場の重しとなっている。CryptoQuantによると、イーサリアムの取引所への流入量は1日当たり約224万ETHと、4カ月ぶりの高水準に達した。このうちBinance向けが116万ETH超と過半を占めた。取引所への流入が直ちに売却を意味するわけではないものの、市場では短期的な変動性の高まりへの警戒が強まっている。
オンチェーンでは、長期間休眠していた資金の移動も確認された。イーサリアム共同創業者のジョセフ・ルービンに関連するとされるウォレットが、3年以上動きのなかった8万1ETHを移動した。規模は約1億2200万ドルとされた。相場がすでに1580ドル近辺まで下落していた局面と重なったことから、市場では単なるポジション調整ではなく、より広い流動性再配分の兆候と受け止める向きもある。
デリバティブ市場では、レバレッジ縮小が下落を加速させた。主要取引所ではロングの清算が進み、売り圧力を強めた。Santimentによると、ビットコインの未決済建玉は25%減の232億ドルに低下し、イーサリアムも13%減の98億ドルとなった。過度なレバレッジの解消は市場構造の健全化につながる一方、短期的には反発局面に流入しやすい投機資金が細っていることも意味する。
こうした圧力は、オプション市場のヘッジ需要にも波及した。Deribitベースでは、イーサリアムのオプション市場でプット需要の強まりが鮮明となり、6日にはプット・コール比(プット優位を示す水準)が3.7倍まで拡大した。2日以降は一貫してプット需要がコールを上回った。プットは、あらかじめ定めた価格で売る権利で、相場下落に備える代表的なヘッジ手段とされる。
未決済建玉は、権利行使価格1500ドルに約1億800万ドル、1400ドルに約7500万ドル、1000ドルに約7800万ドルが集まった。市場が直ちに1000ドルまでの下落を織り込んでいるというより、複数の支援材料が同時に弱まる中で、下方ヘッジのコストを支払う動きが強まっている構図に近い。
ボラティリティも急上昇した。BlockScholesによると、イーサリアムの短期インプライド・ボラティリティは、年初来低水準だった36%から67%へ上昇した。7日物オプションのスキューも、5月末のマイナス3〜4%程度からマイナス14%まで低下した。こうした動きは7日物にとどまらず、14日、30日、90日物にも広がっており、短期イベントへの備えというより、ETF流出と高水準の取引所流入が続いた場合に軟調地合いが長引くとの警戒を反映した可能性がある。
次の焦点は、1500ドル台が支持線として機能するか、それとも一段安の引き金となるかだ。ETFの資金フローが安定し、取引所への流入が落ち着けば下押し圧力は和らぐ可能性がある。一方で、足元のシグナルに変化がなければ、オプション市場で建玉が積み上がる下方の権利行使価格が、次の売り局面の基準となる可能性がある。