金融Webサイトへのエージェント型AIトラフィックが、5月の1カ月で2倍超に急増した。足元の構成比はなお小さいものの、伸びは速く、金融分野でAI自動化の導入が広がるのに伴い、正規の利用と不正アクセスを見分ける難しさが新たな課題として浮上している。
TechRadarが5月5日(現地時間)に報じたところによると、Humanのデータは、金融分野がAIベースの自動化における次の有力市場になりつつあることを示した。
注目されるのは、絶対量よりも増加ペースだ。金融サービスが全エージェント型AIトラフィックに占める割合は約1%にとどまる。一方で、裏を返せばAI企業にとっては開拓余地の大きい市場でもある。
実際、金融業務向けの専用AIエージェント開発も進んでいる。OpenAIとAnthropicは、金融分野のワークフローに対応したカスタムエージェントを構築している。市場はなお立ち上がり段階にあるが、銀行、投資、保険の各分野でAIエージェント活用が広がる流れと重なる。
課題はセキュリティ対応だ。エージェント型のブラウジングは、一部の検知システムでは不正な挙動に似たものとして捉えられる可能性がある。このため、開発者やセキュリティ担当者にとっては、正当な自動化と実際の攻撃を見分ける難度が一段と高まっている。
金融業界ではサイバーセキュリティへの警戒も強まっている。Financial Timesは、銀行がAI関連のサイバーリスクを最優先課題と位置付けていると報じた。Humanによれば、金融サービス企業を標的にしたアカウント乗っ取りの試行は前年から39%増加した。
現時点で金融分野の構成比は他業種に比べて小さい。全エージェント型AIトラフィックに占める割合は、メディアが43%、電子商取引が41%、旅行が14%だった。ただ、金融分野はこれらの業種より増加ペースが速く、規模より成長率の高さが目立つ。
アクセス元別では、Comet Browserが5月時点で最大の比率を維持し、観測された活動全体の47%を占めた。Atlasは20%、ClaudeのChrome拡張機能は19%近くまで小幅に上昇した。
こうした動きは、金融業界のAI導入競争が、単純な問い合わせ対応や検索補助を超え、Webベースの実務処理に広がっていることを示している。同時に、正規のAIエージェント利用とアカウント乗っ取りのような脅威を見分ける基準についても、より精緻な運用が求められている。